中古車業界で働きたいという人も多いだろう。特に最近では中古車の需要が伸びていることもあり、査定士の資格を取得することで有利になるはずだ。
この中古自動車査定士とは、どのような資格になるのだろうか。またどのような仕事内容になるのかといった点を見ていこう。
中古自動車査定士と字面が似ている資格としては、中古自動車販売士という資格もある。この中古自動車販売士とでは、どのような違いがあるのかも確認したい。両方を知ることで、より仕事内容がわかるだろう。
中古車査定士はどんな仕事なのか
最初に中古車査定士とはどのような仕事なのかを確認したい。中古車査に関する資格ではあるのだが、国家資格ではなく民間資格になる。主催しているのは一般財団法人である、日本自動車査定協会だ。
- 小型車査定士
- 大型車査定士
この2つの種類があり、一般的な中古車店で必要とされるのは小型車査定士になる。仕事の内容としては中古車の価値を査定にて判断することだ。この資格を所有していなくても、査定の仕事をすることはできる。
しかし査定の雛形となっているルールがあり、そのルールを作っているのが前述の日本自動車査定協会なのだ。つまり同協会が主催する資格を取得することで、より信頼性の高い査定が行えると考えて良いだろう。
中古車査定士の年収はいくら?
では中古車査定士の資格を取得すると年収はどのくらいになるのだろうか。
- 入社3年程度で約470万円
- 入社6年程度なら約560万円
飽くまでも目安になるのだが、サラリーマンの平均的な給与よりはもらえるだろう。さらに前述の給与にプラスして、インセンティブがつくことが多い。成果をあげた分だけ上乗せされる仕組みだ。
中古車査定士になるための資格「中古自動車査定士技能検定試験」
中古車査定士になるためには、中古自動車査定士技能検定試験に合格しないといけない。前述の通りに主催は日本自動車査定協会になる。また小型査定士と大型査定士の2つがある。
- 小型査定士は乗用車・商用車・最大積載量4t未満の貨物車が対象
- 大型査定士は上記以外の大型貨物車・バスなどが対象
となっている。これらの試験に合格すれば資格認定となるのだ。特に難しい試験ではないので、中古車業界で働きたいのなら取得しておくといいだろう。
ただし資格には有効期間が定められていて、更新するためには研修会に参加する必要がある。
中古自動車査定士の種類①「小型査定士」
中古自動車査定士の1つである小型査定士について詳しく見ていこう。一般的な中古車店においては、小型査定士の資格があれば十分だろう。試験は年に2回行なわれていて、時期は以下の通りだ。
- 6月中旬の試験
- 12月中旬頃の試験
いずれも詳しい日程は日本自動車査定協会のウェブサイトで公開される。ちなみに受験する場合は受付期間中に申込をする必要があるだろう。
- 6月試験は4月上旬~下旬
- 12月試験だと9月上旬~10月中旬
実際の試験よりも前の日程になっているので注意が必要となる。ちなみに資格には有効期間が3年間と定められているのだ。更新する場合は毎年7月~8月に開催されう技能向上研修会を受講しなくてはいけない。
中古自動車査定士の種類②「大型査定士」
もう1つの大型査定士についても見ていこう。大型車両を扱う中古車店もあるので、そうした業者では重宝される資格だろう。試験の日程なのだが、こちらは年に1回しかないで注意しておきたい。
- 6月中旬頃に試験
- 4月上旬~下旬に受付スタート
となっている。小型査定士にあった12月の試験は行なわれていない。資格の有効期間は同じく3年である。こちらも毎年7月~8月開催の、技能向上研修会を受講する必要があるので覚えておくといいだろう。
試験の難易度だが、小型も大型もさほど高くはない。合格率は試験ごとに異なるのだが、だいたい8割~9割の人が合格している。受験資格の1つである協会所定の研修でしっかりと学んでいれば、ほぼ問題ないだろう。
「中古自動車査定士技能検定試験」の受験資格
次に中古自動車査定士技能試験における受験資格を確認したい。
- 自動車販売・整備の実務経験が半年以上あること
- 協会が所定する研修を修了していること
- 小型車査定士の場合は普通運転免許以上の保有
- 大型車査定士は大型1種免許以上の保有
この条件を満たせば、受験ができるようになる。大型車査定士の場合は大型免許が必要となるので、ハードルが高くなっているだろう。
「中古自動車査定士技能検定試験」の試験内容
中古自動車査定士技能検定試験では、どのような問題が出題されるのかも確認しておこう。試験の内容は学科と実技机上の2つとなる。
では学科から確認していこう。
- 中古自動車査定制度について
- 中古自動車査定基準・同細則と加減点の基準について
- 自動車の構造や機能・取り扱いについて
- 保安基準・その他の自動車に関する法規について
- その他の査定に関する事項
次に実技机上試験に移る。
- 机上による査定の実技について
といった内容になっている。
中古車査定士になるための難易度と気になる合格率
前段で軽く触れたが中古車査定士の資格難易度を見ておこう。
- 小型査定士で70%~80%程度
- 大型査定士だと90%~95%程度
というような数字が確認できる。近年では受験者数が下降している傾向があり、合格率も若干だが低くなっているのが特徴だ。
しかし先に述べたように、協会所定の研修さえしっかりと受けていれば、特に難しくはない難易度である。そのため研修後に見直しをしておくのをおすすめする。
中古車査定士が求人を探す方法
では中古車査定士の資格を取得できたとし、実際に働くのなら求人はどのように探せばいいのだろうか。受験資格を得るためには実務経験が必須なので、既に職場があるという人も多いはずだ。
しかし職場がない場合はインターネットの求人サイトがおすすめだ。中古車業界に特化した求人サイトもあるので、希望にあう案件を見つけやすくなっている。また大手の求人サイトなども利用しみているといいだろう。
よく似た名前の「中古自動車販売士」とは?国家資格なの?
最後に中古車査定士と似ている、中古自動車販売士についても見ていこう。こちらの資格も国家資格ではなく、民間資格の1つだ。ただし主催している団体は、一般財団法人の日本中古自動車販売協会連合会になる。
一定の研修を行なった後に試験をクリアすると、資格認定される形となる。また有効期間があり、更新するのなら研修を受講しないといけないのだが、この辺りは中古車査定士と同じだと言えるだろう。
- 中古車査定士は査定のための資格
- 中古自動車販売士は中古車販売のための資格
この2つの最大の違いが上記である。中古車販売については特に資格がなくても行えるものだ。そのため販売員によって知識にバラツキがあると、消費者側も不安になってしまう。
こうした点を解消するために業界が基準を設けているのだが、その資格が中古自動車販売士になる。
中古自動車販売士の受験資格
中古自動車販売士の受験資格についても確認しておこう。
- JU会員販売店または自動車公正取引協議会会員店に所属していること
- 年齢が18歳以上
- 実務経験が1年以上
- 普通運転免許1種保有
という条件になっている。中古車販売店で1年以上の経験があることが条件なのだが、販売店がJU会員か自動車構成取引協議会会員店でないといけないことのみ注意しておきたい。
自動車査定士の資格を保有していると、学科試験の一部が免除される仕組みだ。
中古自動車販売士の難易度と気になる合格率
中古自動車販売士試験の難易度や合格率についても見ておく。試験内容は事前研修から出題されるので、しっかり受講していれば問題ないだろう。試験内容は以下の通りである。
- 筆記試験のみ
- 車両の品質評価について
- コンプライアンス関連
査定士の資格を持っている場合、車両の品質評価について免除される。合格率については発表されていないようだが、実際に資格を取得した人の話からではほぼ100%に近い確率で合格しているようだ。
まとめ
中古自動車査定士の資格について解説してみた。中古車査定における民間資格となる。
査定におけるルールを作っている日本自動車査定協会が主催する資格であり、正しく査定をするための内容になっているものだ。
査定士の仕事をしたいのなら、ほぼ必須の資格だと言えるだろう。ただし販売や整備の関連で実務経験が必須となるので、取得するにはどこかの店舗や修理工場などで働く必要がある。