車を購入するタイミングは、誰でも悩むものだ。しかし、最優先して考えるべきなのはとにかくお得に購入できる時期だ。
なるべく安く購入するために自動車販売店の決算の時期を選んだり、車のモデルチェンジの時期を狙ったりする場合もあるだろう。
しかしそれ以外にも考慮する必要のある時期がある。それは「消費税の増税」だ。
消費税の増税に関しては何度も考慮され延期されてきたものの、近いうちに増税が実際に行われるのはまず確実といえる。
では車の「買い時」は増税によって何か影響を受けるのだろうか。消費税増税の前と後では、車を購入する点でどのような違いが起こるのだろうか。
ずばり車の購入は消費税増税前と後のどちらがお得なのだろうか。これらについて解説していく。
消費税増税を含め『3つの税金』を考える
増税に関連してまず考える必要があるのは以下3つだ。
- 消費税は8%から10%に引き上げられること
- 自動車取得税の廃止と「環境性能割」という新税の導入
- 環境性能割にエコカー減税が適用されない
1.消費税が8%から10%に増税(2019年10月予定)
まず消費税が今までの8%から10%に引き上げられることについて考えてみよう。
現時点では2019年10月(令和1年10月)に増税される予定となっている。そうなれば車の購入に関係した金額にどのような違いが出てくるだろうか。
購入時期 | 車両価格 | 消費税 | 合計費用 |
---|---|---|---|
2019年9月まで | 200万円 | 8% | 216万円 |
2019年10月以降 | 200万円 | 10% | 220万円 |
言うまでもなく、車両の購入価格が大きく変わってくる。上記のとおり、単純に200万円の車を購入する場合は前後で「4万円」の価格差が出ることになる。
基本的に車両価格というのは安くないので、消費税もかなりの額がのしかかってくるのだ。
支払額が大きくないため、車両購入価格とくらべれば増税に伴う影響が少ないとはいえ、今までよりも支払額が増えるのは紛れもない事実なのだ。
2.自動車取得税が令和1年10月に廃止され新税「環境性能割」の導入
次に考慮する必要があるのは、同じく2019年10月(令和1年10月)から自動車取得税が廃止になり、「環境性能割」と呼ばれる新税が導入されることについてだ。
現時点で予定されているのは、自家用乗用車が平成27年度燃費基準を達成した場合は3%の税率、軽自動車は2%だ。もし燃費基準を+20%で達成すれば自家用乗用車は2%になり、軽自動車は変わらない。
平成32年度燃費基準を達成した場合、自家用乗用車、軽自動車共に1%の税率が課され、+20%で達成した場合は共に0%になる。
3.環境性能割にエコカー減税は適用されない
ちなみに今までの自動車取得税にはエコカー減税が適用されてきた。エコカー減税とは車を購入した際にかかる取得税や、車検を受ける時などに必要な重量税を減免する2009年から導入された制度だ。
排ガス性能の悪い車を手放させ、環境性能の良い車に買い替えるよう促すねらいがある。しかし新しく導入される環境性能割では、自動車取得税のようにエコカー減税が適用されない。
もちろん環境性能割という制度も、燃費の良い車であればあるほど税金が安く優遇されるわけなので、基本的には自動車取得税と似た特質をもつ制度といえるが、はたして税負担はどちらが多くなるのだろうか。
新税「環境性能割」で普通車は減税(一部)、軽自動車は増税に
自動車取得税と環境性能割、端的に言えばどちらの方が課税額の増加となるだろうか。
環境性能割が導入されることで燃費性能の優れている一部の普通車は税額が軽減されるが、多くの車は負担額が増えることになる。
軽自動車についていえば軽減の可能性はなく、同じか増税だ。最高税率は2%となっているので今までと変わらないが、燃費基準達成に対する税額の設定が厳しくなっているのだ。
例えば、平成27年度燃費基準+5%を達成しても、環境性能割では2%の税率が課される。同じ燃費基準を達成した場合に課される自動車取得税の1.6%よりも0.6%の増税となるのだ。
ハイブリッドカーや電気自動車などの次世代車以外は”基本増税に”
ちなみに環境性能割の税率で非課税となる対象車は何だろうか。プラグインハイブリッド車や電気自動車、また平成32年度燃費基準+10%達成車などだ。
燃費基準は、ガソリン1リットルに対する走行可能距離で、車両重量により区分される。平成27年度燃費基準と比べて平成32年度燃費基準の方が厳しくなっている。
ハイブリッド車や電気自動車など次世代車と呼ばれる燃費性能に優れた車は、自動車取得税から環境性能割に変更されても特に変更点はないといえる。しかしそれ以外の車は税制が変更されると基本的に増税になるのである。
増税による影響&増税によって起こることを予想する(維持費増)
次に、増税による影響や増税までに起こることについて考えてみよう。消費税が上がれば物を購入する際に今までより高い税を支払わなければならなくなる。当然、車を購入する際にもそうなる。
では車を購入する時だけ、増税の影響を受けると考えれば良いのだろうか。いや、増税の影響を受けるのは車の購入価格だけではないのだ。車に関係した様々なことに消費税が関係してくる。
では、消費税が増税されることによって、車両価格の変化に加えて、ガソリン、自動車保険費用、車検費用などがどう変化していくのかをみてみよう。さらに、増税までに起きていくと予想できる事柄も考えていこう。
100万円の車購入で数万円の価格差が出る
まず何といっても最初に考えるべきことは、消費税の増税が車両の購入価格に与える影響だ。
消費税はもうすぐ10%に引き上げられる。今までの8%から10%に、たったの2%しか増税されないのだから、心配することないと軽く考えることはできない。
単純に計算して、100万円の車を購入したとしても消費税が8%の時に比べて2万円も余分に支払わなければならなくなる。車の価格が高くなればなるほどその差額は大きくなる。
全く同じものを買うわけなのに、いつ購入するかによって数万円単位で価格が違うのだ。この点を真剣に考えるべきである。
2018年度にエコカー減税対象車が従来の9割から7割へ減少(2019年以降更に減少傾向)
以前までは、どのくらいの新車がエコカー減税による取得税の軽減となってきたのだろうか。なんと約9割もの車が対象になっていたのだ。
新車の9割ということはほとんど全部がエコカー減税対象となるのだが、さすがに多すぎるという見方もあり、対象車の割合を調整されることになった。
法改正がなされ、17年度のエコカー減税対象車は今までの9割から8割へ、18年度のエコカー減税対象車は今までの9割から7割となり、2年間で2割もの対象車が燃費性能基準において減らされてしまったのだ。
燃費は「2017年の15.2km/㍑以上」⇒「2018年には17.6km/㍑以上」に対象範囲縮小
ではエコカー減税の対象となるのは、どのような燃費基準値を達成した車なのだろうか。2015年度燃費基準では、重さが1.5tの乗用車で15.2㎞/L以上の燃費となっていた。つまり14.4㎞/Lの5%以上が減税対象ということだ。
しかしまず、2017年度にこの「5%以上」が「10%以上」に引き上げられた。かなり厳しくなったと言える。
そしてさらに、2018年度には17.6㎞/L以上の燃費基準値を達成した車だけが減税の対象となるのだ。15.2㎞/L以上から17.6㎞/L以上に変更されるとなれば、かなりの車が影響を受ける結果となった。
このようにどんどん減税対象を狭めていってる傾向があり、2019年度以降、さらに減税対象が厳しくなる。
ガソリンの増税
消費税の増税によって影響を受けるものの1つはガソリンだ。そしてガソリンは車を動かす上で絶対に必要だ。
通常税金というのは二重に課税してはいけない決まりになっているのだが、ガソリンにかけられている税は生産コストに関係した税で種類が違うため二重課税が認められているのだ。
前回消費税が8%に引き上げられた際は地球温暖化税も同時に増税されているので、今回の10%への引き上げの際にも増税されるのではないかと心配されている。
自動車保険の保険料が値上げになる
消費税の増税によって、自動車保険費用の値上げも予期しておかなければならない。
しかしこの点に疑問を感じる人もいるだろう。なぜなら国税庁のホームページによると、非課税取引に区分されているものの中に「保険料」と記載されているからだ。
契約者が支払う保険料には消費税は関係していないのなら、どうして消費税の増税に伴って保険料の値上げを予期する必要があるのだろうか。
消費税が上がれば修理代が上がり、結果として保険会社が支払う保険金の値段が増えるのだ。また修理だけでなく入院と通院の費用や、薬にかかる費用にも同じことがいえる。
それで消費税が上がることで自動車保険費用は当然上がると考えておく必要があるのだ。
増税後の車検費用の値上げ
車検費用も上がる可能性が大きいことを覚えておきたい。
車検は新車であればまず3年後、その後は2年毎に受ける必要がある。車検費用の中には自賠責保険や自動車重量税、印紙代や検査費用などが含まれる。
もちろん検査費用に関しては、車検を受ける場所、例えばディーラーか車検専門店か、それともガソリンスタンドにお願いするかによって価格は違ってくる。
ただ、基本となる車検代行料や追加整備費、交換する部品代や作業工賃などには消費税がかかるのだ。それで消費税が増税されれば当然、車検費用も値上がりすると考えるのが普通だ。
消費税の増税前に車の購入価格は変化する
消費税が増税されることによって、関係する様々な費用が上がる可能性について考えてきた。では増税前で車自体の価格には変化が生じるのだろうか。
過去の増税の時に生じたことを振り返ると、増税前に価格の変化は生じると結論すべきである。
これから、消費税増税前の新車価格や中古車価格がどのように変化するのかを考えてみよう。そしてその価格の変化にはどのような要因が隠れているのかも見ていこう。
【新車の場合】消費税増税前の新車価格は”安くなる”
結論から言うと、増税前の新車価格は安くなると予測されている。
なぜなら増税前のかき入れ時に売上を伸ばすため新車価格を安くし、お客を1人でも多く取り込みたいという意識が働くからだ。
実際、増税が新車の販売台数にどれほどの影響を与えたかを証明するデータがある。消費税率が5%から8%へと引き上げられた2014年前後のデータを見てみよう。
日本自動車販売協会連合会「統計データ」によると、2013年3月の新車販売台数は667,124台で、2015年3月は695,403台であった。
これに対し増税直前の2014年3月はなんと783,359台だったのだ。
増税直後の2014年4月の新車販売台数は345,221台にまで落ち込んだ。3月と比べて40万台以上も差が出ている。
このように増税前に爆発的に車が売れるという現象が起きたことが見えてくるだろう。そしてこの現象は2019年度10月(令和1年10月)の消費税が10%にアップされる際にも起こりえると考えられる。
【中古車の場合】消費税増税前の中古車価格も”安くなる”
中古車価格の場合も、基本的には新車価格と同じ原理で増税前に安くなることが予想される。これも日本自動車販売協会連合会「中古車・月別登録台数」の実際のデータを見てみよう。
2014年3月の中古車販売台数は、474,025台であったのに対し、2013年3月は449,964台、2015年3月は433,325台であった。新車の販売台数ほど顕著ではないが、例年より3万台ほど多く売れていることが分かる。
中古車オークションの価格の推移を見てみると、消費税増税前の2013年よりも2014年はやや上昇しており、さらに2015年には急騰していることが分かる。
このように中古車の場合、増税前も増税後も販売台数は増えると予想される。しかし、一時的な需要の増加である増税前には中古車価格は安くなる。
一方、新車の需要冷え込みが原因と思われる中古車の需要増加は長く続く可能性があるので、中古車価格は高くなるだろうと予測できる。
消費税増税前後の車両価格の変化を踏まえた”ベストな買いどき”
まず一般的な車の値引きでベストな時期、いわゆる”買い時”と言われる時期は以下になる。
買い時ランキング | 時期 | 理由 |
---|---|---|
1位 | 決算期(3月) | ・株価に影響する時期 ・年度末に当たるから |
2位 | 中間決算(9月) | ・半期の業績を意識 |
3位 | 夏のボーナス時期(6~7月) | ・ボーナス時期を狙う販売促進 ・翌月の半期に合わせた戦略 |
4位 | 冬のボーナス時期(11~12月) | ・ボーナス時期を狙う販売促進 |
先ほど、増税前には新車と中古車の購入価格が安くなると言ったが、それを踏まえた上で、経済的な流れによる車の値引きにベストな時期も加えると以下のような結論になる。
- 中間決算(9月)
- 夏のボーナス時期(6~7月)
これらがベストな買い時になる。出来るなら中間決算(9月)に購入すれば2019年10月(令和1年10月)の消費税増税に間に合うためベストな時期だと言える。
ただし、注意してほしいことがある。次項で詳しく解説しているが、増税前には駆け込み購入が多くなる。
不足の事態を考えるなら、中間決算の9月ではなく『8月頃』から余裕を持って交渉するのが一番だろう。
これに加えて必ずやってほしいのが、当サイトで限定公開している車両本体から値引く方法だ。この方法を実践すれば消費税増税なんて関係なくなるほど大幅な値引きが可能だ。
増税前の駆け込み需要は増えると予想されている
前述したが、増税前に必ずと言って良いほど起きる現象がある。いわゆる「駆け込み購入」だ。
消費税が1997年に5%に引き上げられた時も、2014年に8%に引き上げられた時も、増税までに車を購入しようという「駆け込み購入」が見られた。
それも当然だろう。100万円の車を買おうと思う場合でも、たった一日の違いで何万円も余分に払わなければならなくなるのだから。
それでまず間違いなく、2019年に計画されている10%への増税時にも、駆け込み需要があるだろう。消費税増税直前に、ディーラーや自動車販売店にみんなが殺到するのだ。車の販売台数が一気に跳ね上がるのは間違いないだろう。
これを踏まえた上で増税前の購入計画を立ててほしい。
増税前は売り手市場になるので値引きが渋くなる可能性大
さて、消費税が増税される直前に、必ず駆け込み需要があることを考えた。ではこの増税直前が車の買い時と考えるべきだろうか。改めてその点を考えてみよう。
まず言えることとして、ディーラーであろうと中古車販売店であろうと、基本的に商売を行なっているため少しでも車を高く売ることを目標としている。たとえ一円でも高く売りたいのだ。
そんな車の販売業者が値引きをする時期はいつかというと、値引きをしないと売れない時期だ。
「増税前になんとしても車を購入しよう」と考えたお客が特に値引きをしなくてもどんどんやって来て車を購入していくのだ。
つまり増税の直前というのは売り手市場になり、値引きが基本的に渋くなる可能性が非常に大きいのだ。
それで車が売れる時期ではなく、売れない時期が狙い目であることを覚えておこう。売れない時期に買ってくれるお客は売り手にとって貴重なので値引き率が高くなるのだ。
消費税の増税なんて関係なし「車両本体から値引く方法」
当サイトでは、実際に車両本体から60万円以上の値引きに成功した方法を公開している。
この方法なら消費税の増税関係なく有利に値引き交渉を進めることが可能だ。ぜひ車購入前には目を通してほしい。
本体から値引く方法もあれば、今所有している車を高く売る方法もある。10万、20万円でも高く売れれば売り手市場なんて関係ない。
また、ディーラーの下取りで安く買い叩かれる心配もない。車一括査定を使えば簡単に高価買取が実現できるのだ。
所有している車のリアルな平均相場や価値が無料でわかるため、事前に必ずやっておくべきサービスだ。以下は特に有名かつ優良な車一括査定サイトになる。
特徴はそれぞれ違うため、あなたに合うものを選んでみて一括査定を実施してみてほしい。
消費税増税によって負担増になるのは確実
車はただでさえ高価なもので簡単に買えるものではない。増税されなかったとしても購入に踏み切るにはかなりの勇気と計画が必要だ。
しかし今まで考えてきたように、消費税は現在の8%から10%に引き上げられる。その増税は2019年に行われる予定になっており、増税されれば車の購入や維持に負担が増えることは確実と言えるのだ。
政府は自動車取得税を取り止め、エコカーを優遇するための環境性能割という制度を導入し負担を軽くしているようにみえる。
もちろん環境性能割によってこれからも環境に優しい車への優遇は続いていくので、エコカーを購入することの利点は大きいだろう。
車の購入時期は増税前が間違いなくお得
消費税の増税は予定通り行われるため、もし車の購入を真剣に考えているなら増税前が絶対にお得だ。しかも、増税になる前に納車が間に合う車を選ぶ必要がある。
2014年に5%から8%に、3%引き上げられた時に比べれば、今回は2%の引き上げと変動は少ないものの、やはり増税前に必ず起きる駆け込み需要が増える可能性が大きく、特に増税直前であればあるほどその傾向が強くなる。
そうなれば販売店は拡販を活性化させ、新車の納期が長期化し、中古車でも良い車が品薄になっていく可能性がある。
もし本当に車の購入を考えているなら、増税直前をのんびりと待つよりは、十分に余裕を持って購入した方が良さそうだ。
近づく増税に対してこれだけは忘れないようにしよう。色々な要素を考えると、車の購入は増税後ではなく増税前が絶対にお得であるということを。
まとめ
さて消費税が増税される前か後、どちらに車を購入するのがお得かを考えてきた。消費税が必ず増税されることを覚えておこう。
自動車取得税が廃止され、環境性能割になることも見落とせない要素だ。燃費基準値の達成によって確かに税金が安くなったり非課税になったりする可能性もある。
しかしかなり厳しい基準値であり、相当な燃費の良い車でなければ税金は上がるだろう。ハイブリッドカーであれば別だがそれ以外の車はまず値上がりだ。軽自動車に関しては間違いなく値上がりすることになる。
消費税の増税は様々な影響を及ぼす
また、消費税の増税によって、車体価格に価格消費税だけが影響を受けるわけではないことも覚えておく必要がある。ガソリン、自動車保険、車検の費用も影響を受けるのだ。
さらに大切なポイントは、増税直前には売り手市場となり消費者が不利になりやすい、値引きをしてもらいにくくなるということだ。
ぜひ増税前の少し余裕を持ったタイミングで、お得な買い物をするようにしよう。