車のバッテリーは消耗品だということを知らない人も多いそうだ。
最近の車は特に電気を使う部品が多く、バッテリーが劣化するとエンジンもかからなくなることが多い。そのためバッテリーについて知っておくことは重要だ。
ここではバッテリーの寿命とはどのくらいなのかということだけではなく、劣化する前兆はあるのかを確認したい。最も正確に測れるのが電圧なのだが、その目安になる数字はどの程度などかも紹介していこう。
車のバッテリーの寿命・交換の目安は2年~3年程度
車のバッテリーにも寿命がある。一般的に2年~3年程度が目安となっているのだが、実際には車の使用頻度などでも寿命に変化がある。
- 夜間走行することが多い
- スピーカーなどの電子機器類を使うことが多い
- 10分以下の短時間走行が多い
などのような運転をしていると、バッテリーの寿命は短くなると言われている。車のバッテリーは走行中に充電されるものだが、短い時間しか走らせないと充電がうまくできないからだ。
そのため車のバッテリーの交換時期が早くなってしまうのだ。またバッテリーの質にも条件は左右されるだろう。ちなみにバッテリーの価格もピンからキリまであるので、財布と相談しながら交換するものを決めるといい。
バッテリーの状態を電圧で調べる方法
バッテリーの交換時期の目安を知る方法は幾つかある。
- ライトが暗くなってきている
- エンジンのかかりが悪くなっている
などのような感覚的なものが代表的なのだが、実はしっかりと数値としてわかる目安があるのだ。それが電圧を計測する方法だ。
電圧の正常値:12.5~12.8V(通常時)・13.5~14.5V(エンジン始動時)
エンジンを停止した状態でバッテリーの電圧を計測することで、異常な数値が出ると劣化していると判断できる。
- エンジン停止時の正常な電圧は12.5~12.8V
- 計測したバッテリーの電圧が12.5Vを下回っていると劣化の兆候がある
基本的にはこの数値を覚えておくといいだろう。
12.5V(通常時)を下回ったら寿命や故障の可能性あり
前段で伝えたように、通常時のバッテリー電圧は12.5V程度が正常な値になる。この数値を下回ると劣化の証拠だとしたのだが、なぜそう判断できるのだろうか。その理由は以下の通りになる。
- エンジン始動時には13.5~14.5Vの電圧が必要
- 通常時に電圧が低くなっていると正常に機能しなくなっている
- 計測時に12Vを切っているとエンジンがかからないリスクが増える
基本的に電圧が低いというのは、バッテリーがうまく機能していないからだ。そのため通常の電圧がどんどん下がっていくことになる。一般的には12Vの電圧を切ると、エンジンすらかからなくなるだろう。
自宅から出発する時にかからないのならいいが、出先でかからなくなるとロードサービスを使うしかなくなる。そのため日頃からバッテリーの交換目安を知ることは重要なのだ。
バッテリーの電圧の3つの測り方
実際に車のバッテリーの劣化を目安として知る場合、やはり客観的な数値で知ることができる電圧を計測する方法がおすすめだ。そこでバッテリーの電圧を計測する方法について把握していこう。
① 電圧計をシガーソケットにつなぐ
バッテリーの電圧を正確に把握したいのなら、電圧計をつなぐのが一般的だ。しかしバッテリーに触るのが怖いというケースもあるだろう。そうした時に計測する方法として、シガーソケットがある。
- シガーソケットに電圧計をつなぐ
- 配線などによって電圧がわずかに下がることがある
- そのため若干だが正確性に欠ける
- 挿しっぱなしにしていると日常的に計測できる
- タイプによってはUSB充電機能が使えるものもある
シガーソケットに端子を挿入して、デジタル表示で知る方法は手軽だろう。機器や車に詳しくなくても簡単に利用できるからだ。正確性に欠ける部分はあるものの、使い勝手はいいだろう。
② 電圧計をバッテリーにつなぐ
シガーソケットに電圧計の端子を挿入する方法よりも、正確に数値を知りたいのならサーキットテスターを使うといいだろう。バッテリーの端子に接続して、その電圧を計測する機械のことだ。
- 正確にバッテリーの電圧を測定できる
- 交換時期の目安にできる
- 5000円~1万円程度と比較的に安価に購入できる
- 安全に作業するためには絶縁手袋などが必要
バッテリーの端子に直接接続するため、正確に電圧を測定できるのが強みだ。
正確な電圧がわかるので、バッテリーの交換目安としても使いやすい。
③ 電圧計をOBD2コネクターにつなぐ
車にはOBD2という機器が装備されている。このOBD2は義務化されているため、どんな車両でも搭載されていると考えて良いだろう。この機器を使って電圧を測定することもできる。
- OBD2は故障診断機のこと
- 電圧や燃費などの情報が読み取れる
- OBD2のコネクターケーブルとスキャンツールが必要
専用の読み取り機とケーブルが必要になるのだが、どちらも安価な価格で購入できる。
後はアプリを使ってOBD2からの情報を見るだけになる。車両本体にコネクターがあるので、そちらにつなげるだけなのでお手軽に利用できるだろう。
もともと車の修理をする時に、何が原因になっているのかを把握するためのものなので、正確にデータを把握できるのが魅力だろう。
バッテリーの寿命と交換時期の症状
前段でも軽く触れたがバッテリーの交換時期になると、出る症状というものがある。感覚的なものが多く、普段から車に乗っていないと変化が分かりづらいものかもしれないが代表的なものを紹介しておこう。
【症状①】エンジンのかかりが悪い・セルモーターが弱々しい
車のエンジンはバッテリーからの電流で、セルモーターを動かすことでスタートするものだ。そのためバッテリーが劣化してくると、エンジンがかかりにくくなってくる。
- 一瞬間延びしたような感じでエンジンがかかる
- キュルキュルという異音がする
などのような症状が出てくると、バッテリーが劣化したことによってセルモーターの働きが悪くなっていると言えるだろう。こうした症状が出ると、そろそろバッテリー交換のサインだ。
【症状②】アイドリング中のヘッドライト・室内灯など灯火類が暗い
バッテリーが劣化することで、電装品の働きが弱まってしまうのも当然の話だ。中でも顕著な例として挙げられるのが、灯火類だろう。いわゆる室内灯やヘッドライトのことだ。
- アイドリング中に暗くなる
というのがポイントだ。特に気にしておきたいのがアイドリング中という点だ。走行時にはバッテリーが充電されるので、ヘッドライトなどの明るさが戻ってしまう。そのため判別しにくいポイントだろう。
【症状③】バッテリーの電圧低下・バッテリー液の変色がある
バッテリー交換の目安として最もわかりやすいのが電圧の低下だ。電圧を計測する方法は上段で伝えた通りなのだが、もう1つ感覚的に目安とできるものがある。
- 新品のバッテリーは無色透明
- 劣化してくると色が濁ってくる
といった特徴があるのだ。バッテリーには硫酸と鉛が入っているので、視認するのは難しいかもしれない。ただバッテリーを外から見て、色が濁っているなと判断できれば交換の目安になる。
【症状④】アイドリングストップが作動しなくなった
近年になって発売された車でも、ある程度以上のグレードになるとアイドリングストップの機能が標準搭載されている。
環境性能の1つとして有望な機能であるのだが、エンジンの停止と再始動を頻繁にするためバッテリーの容量を食ってしまう。
そんなアイドリングストップの機能が、作動しなくなることがあるのだ。なぜ作動しなくなるのかというと、バッテリーが劣化しているからである。バッテリーの容量を食う機能なので、電圧が低下するとうまく動かないのだ。
車のバッテリーの寿命を長くする方法
では最後に車のバッテリーの寿命を長くする方法を考えてみたい。一般的にバッテリーの交換時期の目安は、2年~3年程度だと伝えた通りだ。この期間を延長できる方法について見ていこう。
【方法①】週に1度は車を動かす
車のバッテリーは走行することによって、充電されていくものである。そのため普段からの走行距離というのが、非常に重要なポイントになってくるのだ。
あまりにも車を動かさない、または動かしても短距離の移動だけではバッテリーにしっかりと充電ができない。
- 週に一度は車にのる
- 自然放電よりも充電できるようにする
バッテリーに蓄えられている電気というのは、自然に放電されていくものだ。そのため車に乗らない期間が長くなると、バッテリーの電圧が低下してしまってエンジンがかからなくなる。
そのため定期的に車を動かすことが重要なポイントになるのだ。最低でも週に1度くらいの頻度で車に乗れば、バッテリー交換の時期は伸ばせるだろう。
【方法②】定期的にバッテリーの点検をする
バッテリーの点検は定期的にしておくのもポイントになる。実はバッテリーは温度の影響を受けやすいものなのだ。そのため夏や冬といった気温が極端に上下するような季節に動作が不安定になりやすい。
- バッテリーの内部は見た目で判断しにくい
- 素人では難しいのでカーショップなどで点検してもらう
といったように夏や冬といった季節で、点検をしてもらっておくと安心できる。前段でも触れたが、車のバッテリーが劣化していると突然エンジンがかからなくなることもあるためだ。
特に出先などでエンジンがかからなくなると、ロードサービスを利用する必要が出てくる。当然だがカー用品店などでバッテリー交換をするよりも、かなり割高になるので注意しておきたい。
【方法③】10km以上走行する
先述したように車は定期的に乗ることが重要だ。ただし1つ注意しておきたいことがある。それは短距離の走行では、十分にバッテリーの充電ができないことだ。
やはりある程度の距離を走らなければ、バッテリーの電圧は下がってしまう。
- 目安としては10km以上
- できれば信号が少なく、一定の速度で走ること
そのため基本的な目安として10km以上という数字を頭に入れておくといい。ただ街中で信号が多く、ストップ&ゴーを繰り返すような道ではあまり意味がないのだ。
なぜなら適度に走れていないので、効率の良い充電ができないからだ。理想としては高速道路が良いだろう。
信号がなく、一定の速度で走ることができるためだ。しかし週に1度は高速道路を運転するのも面倒だろう。なので適度に走れる道を見つけておくことが重要になる。
【方法④】エンジン停止中に電装品を使用しない
バッテリーの交換時期を延ばすのに重要なのが、エンジンの停止中に電装品を使わないということだ。特に最近ではシガーソケットからUSBケーブルを使って、スマホの充電をする人が多いだろう。
しかしスマホの充電はかなりバッテリーに影響を与えてしまうものだ。充電をするのなら、走行中にするようにしたい。
- 室内灯は短時間しか利用しない
- ヘッドライトはこまめに消す
- 必要最低限のみ使う
- できれば復数の電装品を使わないようにする
というのが基本的なポイントになるだろう。エンジンの停止中に電装品を使うと、それだけバッテリーの電圧が目減りしていくと考えて良い。長持ちさせたいのなら必要最低限のみにしておこう。
まとめ
バッテリーの寿命や交換時期の目安について情報をまとめてみた。意外と知らない人も多いが、バッテリーは消耗品である。
そのため劣化したまま使っていると、突然エンジンがかからなくなることもあるのだ。このバッテリーの交換の目安だが、2年~3年程度だと言われている。
目安としては電圧を計測するのが良いだろう。特におすすめなのはOBD2コネクターを使って、データを見るのがお手軽にできる方法だ。