運転免許証の自主返納は1998年に始まり、今では周知のものとなった。運転免許が不要になったドライバー、運転に不安を感じるようになった高齢ドライバーなどが自ら運転免許証を取り消しできる制度だ。
近年、高齢ドライバーによる交通事故が問題として挙げられているが、その対応策のひとつとして自主返納の声が大きくなっている。返納率は徐々に増加しているようだが、その割合はまだ小さいのが現状だ。
運転免許証の自主返納の割合
警察庁による「運転免許証の自主返納に関するアンケート調査結果」によれば、平成27年末時点で「75歳以上」の運転免許保有者数は477万9,968人となっている。
一方、自主返納件数は12万3,913人だった。比較すると自主返納の割合はまだ少ない値だというのが分かる。
免許の自主返納については年齢制限は設けられていない。若いうちに返納することも可能だ。

高齢ドライバーの返納についていえば、70代の割合が最も多い。
75歳以上の自主返納者の平均年齢は80.2歳となっており、さらなる低年齢化も課題のひとつといえるだろう。

自主返納しようと思ったときとして「家族等に勧められたとき」という回答がもっとも多く33.0%を占めている。この話題については身内の関心も高いことを示している。また、自発的な動機として「運転する必要がなくなったように感じたとき」がつづく29.4%だ。
それに対して運転継続者のアンケートから「自主返納をしようと思ったときはない」という回答が60%を超えている。
両者とも自主返納をためらう理由として共通しているのが「車がないと生活が不便」だということだ。

多くの高齢ドライバーにとって、運転する目的は「生活のため」であって、ここに自主返納の課題が示唆されている。
地域によって、あるいは身体の健康状態や生活状況などによって、ほかの交通手段では不自由すると感じている方が多いのが現状だ。
運転免許証の自主返納の手続き

運転免許の返納手続きについては誰もが簡単に行えるようになっている。申請場所は「警察署」や「免許センター」だ。必要なものは通常、運転免許証だけで済む。
ただし、あとで解説する「運転経歴証明書」を併せて申請する場合には証明写真や手数料等が必要になってくる。
一部の免許だけを返納することも可能
普通免許には原付免許も含まれている。車は乗らないが、原付の免許だけは有効にしておきたいと希望する方もいるだろう。
免許を返納しながら一部の免許だけを有効にしておくことはできる。原付だけを残しておきたいという場合、普通免許に含まれている下位免許であるため、新たに試験を受け直す必要などもない。
ただ、その場合には「免許証交付手数料」などが必要になるので、その用意だけは忘れないようにしなければならない。
期限切れの免許証の返納は不可

自主返納の申請期限は免許の有効期限内だ。免許の期限が切れてからでは返納の手続きはできない。そもそも返納する必要もなくなるのだが、返納手続きをすることにはメリットがあるので、できるならやっておくことをおすすめする。
例えば、返納すると運転免許証のような本人確認書類である「運転経歴証明書」を発行することができる。運転免許証で身分証明する機会が多いので、これが代わりになってくれる。さらに、この証明書があることで、商品の割引など様々な特典が手に入る。
代理人による手続き
代理人が自主返納の手続きをすることもできる。その場合にはドライバーのサインや代理する理由等を記した委任状などが必要になる。
その必要書類は警察署や免許センターで取得できるが、地域によっては警察のHPでPDFでダウンロードすることもできる。
運転経歴証明書

運転免許を自主返納する際、「運転経歴証明書」を申請することもできる。これは「公的な身分証明書」となってくれる。これには年齢制限はないので返納するすべてのドライバーが対象だ。
申請場所は警察署や運転免許センターで、自主返納と同時に行える。持参する必要なものは以下の通りだ。
- 交付手数料1,100円
- 写真1枚
- 住所・氏名及び生年月日が確認できる書類(自主返納と同時申請なら不要)
代理人によって申請できますが、自主返納と同じく別途書類が必要だ。
【全国一覧表】運転経歴証明書による特典・メリット
運転経歴証明書を持っていると特典を受けることができる。地域などで特典内容は違うが、例えばタクシーやバスなどの運賃割引、百貨店の配送料の割引など様々だ。
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まとめ

今回は運転免許証の自主返納について解説した。運転免許証の自主返納制度とは高齢にともなって身体機能、判断力の低下により、運転に不安を感じる方などが自ら免許の取り消しを申請できる制度だ。
ただし、年齢制限はなく、免許を所有するドライバーすべてが対象だ。車の免許だけを取り消し、原付は残しておきたいという一部取消も可能だ。
申請場所は警察署や免許センター。持参するのは運転免許証のみで、複雑な手続きではない。運転免許を自主返納した際に「運転経歴証明書」を申請することもできる。
この証明書は「公的な身分証明書」として使用可能だ。返納と同じく警察署や免許センター。
持参するものは交付手数料1,100円、写真1枚、住所・氏名及び生年月日が確認できる書類(自主返納と同時申請なら不要)。なお、運転経歴証明書の申請可能な期間は運転免許証の返納後5年以内となっている。
