中古車を購入する際、経済的な事情からローンで支払いたいという人は多い。車のローンには複数のタイプがあり、支払いの特徴やメリット・デメリットはそれぞれ異なる。
車に乗り出してからのことを想定し、個人に合ったローンの組み方をすることは大事だが、そもそもの話、「自分はローンを利用できるかどうか心配だ」という方もいるだろう。
そういった悩みを抱く方でも審査が通りやすいのが「自社ローン」だ。この記事ではローンの種類について説明したうえで自社ローンについて詳しく見ていきたい。
自動車ローンは3種類
一口に車のローンといっても、いくつかのタイプがある。自動車ローンを大別すると、以下の3つに分類される。
- 銀行ローン
- ディーラーローン
- 自社ローン
この言葉だけを見た場合、勘違いしやすいものもあるため、一つずつその内容を解説し、それぞれのメリット・デメリットも見てみよう。
1.銀行ローン
自動車ローン(マイカーローン)といえば、まずは銀行ローンが思い浮かぶ。銀行や信用金庫など金融機関で自動車ローンが提供されている。新車はもとより中古車の購入でも利用ができる。
申込みは銀行の窓口、電話、WEBなど様々だ。事前審査、正式な審査があり、一般的には融資を受けるまで1週間程度といわれている。契約手続きが完了すると、借入金が指定先に振り込まれる。
借入金の金額については、金融機関によって違い、「~300万円」「~1000万円」など幅があるが、「10万円以上、1000万円以内」というのが目立つ。ただし、審査の結果、希望の金額にならないケースもある。
利用できる対象者は「20歳以上」「前年度の年収が〇〇円以上で(個人事業主は所得金額)、現在安定した収入がある」などの条件がある。
なかには「新社会人、新卒の就職内定者の方も利用可」といった内容を掲げている銀行もあるし、継続安定した収入があればパート・アルバイトでも申し込み可能なところもある。
金利の相場については「1.5%~4%」程度だ。融資期間は「半年~10年以内」などが多い。
審査については厳しめだが、車は購入した時点で自分のものになる。
2.ディーラーローン
ディーラーローンと聞けば、その言葉からディーラー、つまりその店からローンするイメージだがそうではない。
「ディーラーでローン契約できる」ということであり、「ディーラーと提携しているローン会社(信販会社)からお金を借りる」ことになる。
審査時間は30分~1時間程度で審査が完了。審査も通りやすいのが特徴だ。
ただし、ローン完済まで車が借入金の担保状態となるので、車の所有権はディーラーやローン会社にあるので注意が必要だ。完済すれば、名義変更の手続きを行ってその個人に所有権が移る。
金利については一般的に3,4%~7,8%くらいの相場になり、銀行ローンよりも高めだ。返済期間は「5年~8年」ほどで銀行よりも短く設定されているのが多い。
3.自社ローン
この記事のメインテーマである「自社ローン」は、先に挙げた銀行等の金融機関やローン会社(信販会社)を利用せず、販売店が独自に提供するローンサービスのことだ。
そのため、ローンというよりも「分割払い」というニュアンスが強い。
店自体のサービスなので、一般の自動車ローンよりも審査が通りやすい。銀行ローンであれば専業主婦、学生、無職の方は利用不可だが、そういった方でもローンを組みやすい。
ただし、保証人が必要だったり、高額な車は対象外だったりと、それなりの条件もある。ディーラーローンと同じく、ローンが完済するまでは販売店の所有となる。
支払い回数については1年~2年を上限として短めに設定されていることが多い。自社ローンの場合、車の販売店のサービスなので金利を設定することはできない。そのため、金利は0%だ。
自動車ローン3タイプのメリット・デメリットを比較
ローンのタイプ | メリット | デメリット |
---|---|---|
銀行ローン | ・金利の相場が「1.5%~4%」と低め ・車購入時点で個人の所有となる |
・審査が厳しめ |
ディーラーローン | ・審査時間が短い ・審査が通りやすい |
・金利の相場が「3,4%~7,8%」と銀行ローンよりも高め ・ローン完済まで車の所有権はディーラー(ローン会社) |
自社ローン | ・審査が通りやすい(銀行やディーラーローンよりも) ・金利がない |
・保証人が必要 ・高価な車種は利用不可の場合も ・支払い期間が短め ・ローン完済まで車の所有権はディーラー |
自動車ローン3種類のメリット、デメリットをまとめてみた。それぞれ特徴が異なるが、自社ローンやディーラーローンは「審査重視」といえるだろう。
銀行ローンやディーラーローンなどの審査に通らなかった場合、通らないことが予想される場合には自社ローンが便利に活用できるといったイメージで捉えておくのがいいいかもしれない。
車の所有権に関しては銀行ローンのみが購入時に個人のものとなる。
ディーラーローンや自社ローンの場合、完済するまで車の名義はディーラーや信販会社になっているので、購入後、車を自分の判断だけで途中で売ることはできない。ローン途中で乗り換える時には手続きが必要だ。
残価設定ローン(クレジット)とは?
自動車ローンの話題でよく出てくるのが「残価設定型クレジット(残クレ)」や「残価設定型プラン」についてだ。
車というのは時間の経過とともに日々、価値が落ちていく。購入した車を数年後に乗り換える場合、車にどれだけの価値が残っているかを意味する言葉が「残価(残存価値)」だ。その残価はすなわち、下取り価格となる。
車購入の際、あらかじめ残価を設定し、その残価を差し引いた金額のみを分割し、毎月の支払とするのが、「残価設定型クレジット(残クレ)」や「残価設定型プラン」という支払い方法だ。一般のローンよりも毎月の支払いが少なくなるのが特徴だ。
「ローンの返済期間が終了した後はどうなるの?」と気になるところだが、これにはいくつかの選択肢がある。
- 車を返却、新しい車に乗り換え
- (一括や再ローンで)残価を支払って車を買い取る
- 車を返却
このうち、①と③は残価分を支払わずに精算する方法だ。
①の方は残価設定型プランの契約終了後、車を返却してその店で新しい車に乗り換えるという流れだ。この場合、例えばトヨタの店なら再びそのメーカーの車種のなかから選ぶことになる。
③は単に返却するだけだ。その後、乗り換える車を他の販売店で探すといった流れだ。
②については残価分を支払ってその車を買い上げるという方法だ。乗っているうちにその車が気に入って手放したくない時など、ドライバーが買い取ることができる。その支払い方法については一括だけでなく、再ローン・再分割という形にすることもできる。
この「残価設定型クレジット(残クレ)」や「残価設定型プラン」は、ディーラーローンや自社ローンのように車の所有権は店や信販会社などにあって、ドライバーにはないので注意が必要だ。
自社ローンの疑問点をまとめて解説
以上の内容も踏まえて、自社ローンの様々な疑問点について一つずつ見ていこう。
自社ローンで「保証人なし」はできないのか?
保証人は、債務者が返済できなくなった場合、代わりに返済する義務を負う者のことで、ローン契約では保証人が必要になる場合が多い。
自社ローンの場合、その店独自の審査によるので、銀行ローンなどと比べて審査に通りやすいのが特徴だ。
その分、信用が大切になってくるため、保証人が必要な店も多い。しかしネットで少し探してみるだけでも「保証人なし」の販売店も見つかる。
店によっては「保証人は要相談」となっているので、気になる方は問い合わせてみるのもいいだろう。
自己破産や任意整理した場合でも申し込める?
審査基準はその店ごとに異なるが、例えば「任意整理の場合、半年程度経過後なら申し込み可」というところや「自己破産して1年経過後なら申し込み可」「過去に自己破産や任意整理していても、申込み可」などという店もある。
もちろん審査が通るかどうかはその個人によって違ってくるが、申込みはできるという店も少なくない。
自社ローンで「頭金なし」はある?
頭金なしの自社ローンを提供している販売店もある。
頭金がある店ではその金額の相場は車の総額の10%前後くらいだ。
自社ローンは絶対に通るのか?
自社ローンは「他社でローンが通らなかった人」「自己破産や債務整理の経験のある人」などでも利用可能を売りにしているが、誰でも必ず審査に通るというわけではない。
また、希望の車種では自社ローンを利用できないという条件などもあるため、気になる点は店に相談してみるのがいいだろう。
自社ローンは新車は変えないのか?
新車・中古車販売店で、自社ローンによって新車を買うことができる店もある。
まとめ
この記事ではローンの種類について説明し、自社ローンについて詳しく見てきた。
自動車ローンは大きく分けて3タイプある。銀行や信用金庫など金融機関で自動車ローンが提供されている銀行ローンでは金利の相場については「1.5%~4%」程度と低い。車の購入時にその個人が車の所有者となれるのもメリットだ。
ディーラーと提携しているローン会社(信販会社)からお金を借りることになるディーラーローンでは審査が早く、通りやすいのが特徴だ。金利については一般的に3,4%~7,8%くらいの相場になり、銀行ローンよりも高めだ。
「自社ローン」は販売店が独自に提供するローンサービスのことだ。一般の自動車ローンよりも審査がかなり通りやすい。金利は0%だが、保証人が必要だったりするケースもある。
ディーラーローンと自社ローンについてはローン完済まで車の所有権はディーラー店やローン会社にあるので注意が必要だ。