車を購入する際、新車に乗りたいが費用面でちょっと手が出ない、だけど中古車も嫌だという人もいるはずだ。そんな人におすすめしたいのが試乗車である。
試乗車は厳密には新車ではないが、ほぼ新車に近い中古車であり、新車よりもかなり安く購入できるのだ。
ここでは、試乗車落ちを買うメリットとデメリットを紹介しているので、気になる人はチェックしてもらいたい。また試乗車はすぐに見つかるものではないため、選び方と見つけ方も知っておくといいだろう。
そもそも試乗車とは?試乗するために使われていた車
新車の購入を検討する際、その車がどのような乗り心地で、どのような性能があるのかをじっくり見極めることが重要である。もちろん燃費や性能については、数字や言葉で表されるが実際に乗ってみないとわからないものだ。
そのためディーラーでは客が乗り心地等を試すため専用の車を準備しているものだ。まさにそれが試乗車である。しかも公道も走行できるように新車登録もしているのだ。
その試乗車も何年も乗り続けることはなく、試乗車が新しくなれば、それまでの試乗車は中古車市場に出回り試乗車落ちとなるのだ。
毎日試乗するわけでもなく、走行距離も少ないため新車とほぼ変わらないものも少なくない。それでいて新車よりも安く購入できるとして人気があるのだ。
試乗車落ちする中古車のタイミングはいつなのか
試乗車落ちのタイミングはディーラーや車種によっても異なるが、一般的には以下のようなタイミングで試乗車落ちとなる。
- モデルチェンジ
- 新車登録から2年程度
試乗車は新車をお客様に買ってもらうのが最終的な目的であるため、当然最新モデルを試乗車としている。そのため、マイナーチェンジを含めモデルチェンジした時点でそれまでの試乗車のほとんどは中古車として出回るのだ。
ただ車種によっては数年間モデルチェンジを行わないケースもあり、そんな時には長くても2年程度で試乗車落ちとなるのだ。
実際にいつ試乗車落ちにするかはディーラーによって異なるため、モデルチェンジの直前もしくはそろそろモデルチェンジではないかと予想される時期でもディーラーに足を運んでみるといいだろう。
試乗車落ちを買う『4つのメリット』
試乗車にはいろいろなメリットがあるもので、思いがけないメリットもあるものだ。ここではその中で大きなメリット4つをまとめているので、チェックして検討してもらいたい。
【メリット1】安く購入できる
新車落ちの一番のメリットと言えるのが、やはり新車よりも安く購入できる点だ。中古車であるため当たり前と言えば当たり前なのだが、中古車とは違って試乗車として利用していたため、走行距離も少なく状態が良いものほとんどだ。
言い換えればほぼ新車の状態ともいえるのだ。どれくらい安くなるのかというと、新車登録から何年たっているのか、どれくらい走行したか、またディーラーによっても異なるが、少なくとも新車価格の10%から15%、場合によっては20%近く安くなることもあるのだ。
新車同然の車がそれだけ安く購入できるのだから、かなりお得といえる。元々新車の予算を組んでいる人なら、余ったお金で装備品などを充実させることだってできるのだ。
【メリット2】整備がきちんとされている
中古車を購入する際に気になる点と言えば、前オーナーがどんなメンテナンスをしていたかだ。いい加減な整備をしていれば、いくら年式が新しく走行距離が少なくても、故障のリスクが高くなってしまう。
試乗車落ちも中古車には違いないのだが、前オーナーはディーラーなのだから整備がきちんとされている車であることは間違いない。
もしも整備を怠っていれば、試乗車としてお客様に乗ってもらっている時に不具合が出てしまえば、新車購入に影響が出てしまうからだ。
そうならないため、試乗車はしっかりとディーラーのメンテナンスが行われているのである。それがそのまま購入できるのだから、ほぼ価値がいなく状態の良い中古車に乗れるということだ。
【メリット3】グレードが高く人気のオプション付きが多い
試乗車は乗ったお客様にその車の性能を知ってもらうことが目的である。さらにできることならグレードが高く、さらにはオプションも付けてもらいたいため、試乗車には最新機能やオプションなどもしっかり取り付けている事がほとんどだ。
仮に最低のグレードを試乗車としてしまうと、グレードの良い車を購入する人は少なく、極端な話その車の良さを感じられず車が売れないなんてこともあるのだ。そのため少なくとも最低グレードでオプションは何もつけていない車を試乗車にすることはない。
ということから、試乗車落ちの車はその車種の中でもグレードは高めで、お客様がつけたくなるような人気のオプションパーツも付いている事が多い。
だからといって、オプション分が高くなるということはほとんどないので、安い価格で性能の良い車を購入できるというわけだ。
【メリット4】目立つ傷や汚れはなく走行距離が短い
試乗車はディーラーの店舗にある車であり、基本的にお客様の試し乗りの時にしか走行させないものだ。試乗も5kmから10km程度であり、しかも毎日使用するわけでもないため走行距離は短いのが一般的である。
乗る機会も少ないということもあり目立つ傷や汚れもない。逆に傷や汚れがある車をお客様に乗せてしまえば、不快に思われてしまうだろうから、試乗車は基本的に綺麗に仕上げているのだ。
もちろん試乗するお客様は乗り慣れない車に乗るため、擦ったりぶつけたりすることは考えられるが、たいていは自分の車を運転するよりも安全運転に心がけるので事故のリスクも少ない。
もしもぶつけてしまったとしても、綺麗に修復するだろうし、もし事故を起こした試乗車ならさらに安くなっているはずだ。
試乗車落ちを買う『2つのデメリット』
試乗車落ちはメリットがたくさんあるものだが、だからと言って安易に購入するのも危険だ。少なからずデメリットもあるため買ってから後悔しないために以下の2つのデメリットを知っておくといいだろう。
【デメリット1】色やオプションなどの選択肢が少ない
試乗車は各ディーラーでお客様にその乗り心地や性能を知ってもらうための車だ。それがそのまま試乗車落ちとして中古車市場に出てくるため、色や付いているオプションなどもそのままで、色などは特に変えることはできない。
新車であれば基本的に受注してから工場で生産されるため、ボディカラーもオプションも希望通りにできる。だが試乗車落ちは現状のまま売るため、色やオプションなどが希望通りではないことも多いのだ。
ブラックの車がいい、本革シートにしたいといったところで、試乗車がそれでなければ無理である。もちろん任意の色やオプションが付いている事が多いのだが、必ずしも自分の希望になるとは限らないのが試乗車のデメリットである。
【デメリット2】色々な人が運転している
試乗車はディーラーで試乗を希望した人が乗る車であり、形式上のオーナーはディーラーではあるが、運転するのはディーラーのスタッフではなくほとんどがお客さまだ。まさに色々な人が運転しているということがもう1つのデメリットである。
色々な人がわずかな距離を乗るため、一般的な中古車のように前オーナーのクセが付いているなんてことはないが、色々な人が乗ることでのデメリットもある。たいていのお客さまは慎重に運転するので問題ないが、中には乱暴に車を扱う人もいるのだ。
また車の性能を確かめるため、急発進をしてみたり急ブレーキをかけてみたり、スピードを出してみたりとワザと乱暴な運転をする人もあるのだ。それによる不具合などはほとんどないだろうが、色々な人が乗ったということだけは頭に入れておくべきだ。
試乗車の購入が向いている人&向いていない人
試乗車は誰にとってもお得でおすすめというわけではない。買ってから後悔しないためには、まずは自分が試乗車の購入に向いているのか、それとも向いていないのか確認しておく必要がある。ここでは向いている人・向いていない人を紹介している。
試乗車を買ってもいい人
試乗車を買ってもいい人は以下のような人である。
- 人気の車を安く買いたい
- 特にボディカラーやオプションにこだわりがない
- 外観にこだわりはない
- すぐに新車に乗りたい
- グレードの良い車に乗りたい
- 年式が新しい中古車に乗りたい
試乗車のメリットはグレードが良く人気の新車に安く乗れるという点だ。新車が欲しいけど、少しでも安く買いたい、そのためなら外観やオプションにもこだわりがない、多少走った車でも問題ないという人は試乗車を買っても後悔する事はないはずだ。
また新車は納期まで時間がかかり、早くても1ヶ月、人気車種となれば半年から1年待ちとなることもあるのだ。
試乗車は現状の車をそのまま引き渡すだけのため、納車までほとんど時間はかからないのである。こういった条件に合う人ならおすすめだ。
試乗車は買わない方がいい人
試乗車はおすすめとはいうものの、以下のような人は買わない方がいいだろう。
- 誰も乗っていない新車がいい
- 最低限の装備で十分
- 車のボディやオプションにこだわりがある
まず勘違いしてはいけないのは、試乗車は新車ではないということだ。そしてその車に乗った、触った人の数だけ見れば一般的な中古車よりも多くなるだろう。誰が乗った・触ったか分からない車は嫌だという人は向いていない。
また試乗車はある程度グレードも高くオプションも色々付いているものだ。そのため1割から2割ほど安く購入できるとはいっても、最低グレードでオプションも付けない車よりは高くなるのがほとんどである。
そしてグレートやオプションも選べないため、車にこだわりを持っている人は買ってから後悔することもあるかもしれないのでやめたほうがいいだろう。
試乗車落ちを買う時の注意点&注目ポイント
試乗車落ちは一般的に言えばお得な車ではあるが、実際に買う時には注意点や注目しておくポイントもあるものだ。主に以下のようなポイントは押さえておくといいだろう。
- 値引きはほとんど期待できない
- あくまで中古車であることは頭に入れておく
- 試乗車落ちも試乗してみよう
新車はいろいろと交渉すればそこから値引きすることもできる。そのため試乗車も値引き交渉すればさらに安くなるのではと思うかもしれないが、実際がほとんど値引きは期待できないと思ったほうがいい。
また試乗車はあくまで中古車であり新車とは違うため、ディーラーでしっかり整備されているといっても不具合が出る可能性だってあるのだ。また試乗車だからと飛びつくのではなく、乗り心地等はしっかり試乗して決めるべきである。
まとめ
試乗車は一般的にはお得な車というイメージがあるが、必ずしもそうとは限らないケースもあるのだ。
新車同然といっても、実際は多くの人が乗った中古車であり、新車のように自由に色やオプションも決められないなどのデメリットもある。そのため試乗車を購入する際にはしっかりとデメリットも知って判断すべきだ。
また試乗車そのものは数が少ないため、迷っていると他の人に買われてしまう可能性もあるため、早く見つけて早く契約することも重要なポイントである。