車購入の値引きといえば新車だけしかできないというイメージがあるが、中古車の値引きも可能だ。ただ、新車とは値引き事情がまったく異なるため、基本的な知識をおさえていないと交渉は難しい。
そこで今回は中古車の値引き術について解説する。そのほか、値引きなしでも安く購入する方法も紹介するのでぜひ参考にしてほしい。
中古車の値引きと新車の値引きとの違い
新車の場合、値引きは比較的簡単に行える。むしろ値引き交渉しなければ損だといってもいいだろう。というのも、ディーラー店では値引きを計算に入れた価格が設定されているからだ。
新車の場合、いくらまでなら値引できるという枠がある。そのためその範囲なら相手もスムーズに交渉に応じてくれる可能性が高いが、見方を変えれば、枠を超えた割引は不可能だということでもある。
中古車値引きは難しい?
中古車の場合、新車のようにこの車種はこれだけの値引きなら可能というような枠を設定することは難しい。中古車の価格設定は新車よりも事情が込み入っていると言える。
中古車販売店が中古車を仕入れる方法は中古車オークションでの落札、一般ドライバーからの買取など様々なルートがある。もちろん中古車では一台ずつで状態が違い、価値が異なる。そのため一台ごとで仕入れ値が違ってくる。
中古車の価格はそのような支出分を勘定し、利益を乗せて設定される。その利益の乗せ方も、各中古車販売店の判断によって幅がある。
そのため利益率の低い価格設定をした車であれば値引きの余地がないだろうし、十分な利益を含んだ車であれば大きな値引きも可能になる。
中古車値引きの限界はいくら?
一般的に言われている中古車の値引きは車両価格の3%~15%だ。私見を挟めば、車両価格の10%以上で値引きができれば、十分に値引きができたといえるかもしれない。
先に説明した通り、車によってどれくらい値引きできるかは分からない。
買い手が知れる情報の限りで、これだけの値引きができそうだと予想することは困難なため、値引き交渉にチャレンジしつつもうまくいかない場合にはその状況を素直に受け入れるという態度も大切になってくる。
中古車の値引きにおすすめな時期は?
中古車値引きの期待できる時期は2月~3月ないし4月~5月だ。もちろん、確定的に値引きしてもらえるシーズンというわけでもないので、あくまで参考程度に留めてほしい。
なぜこの時期が期待できるのかといえば、新車事情との関連から推測できる。新車の市場が活発になるのが2月~3月の春先にかけてで、この時期、乗り換えなどで中古車市場へ車が流れ込んでくる。
販売店の供給量が高まると、中古車価格は低下しやすい。効率よく在庫をさばいていく必要があるため、値引き交渉も行いやすくなるというわけだ。
4月~5月というのは春先の活発な動きが落ち着いて買い手が減るため、値引き交渉に応じてもらいやすくなるからだ。
不人気な車種の値引き
購入予定の中古車が一般的に人気がない車種であれば、積極的に値引きしてもらえるケースと、まったく値引きができないケースの両極端などちらかになる可能性が高い。
不人気な車は売れにくいので安くしてもらえそうなイメージだが、そもそも販売価格をかなり下げていることも。利益率を限りなくおさえた車の場合、値引きの余地がないこともある。
ミニバンやSUVは値引き率が高めになる傾向
ミニバンやSUVの値引き率が高めになる傾向なのは人気の車種だからだ。
売れやすい車種ほど値引きの必要もないのでは?と疑問に思うかもしれないが、こういうタイプの車はよく売れるからこそ、十分な利益を上乗せして比較的高値で販売されていることが多い。つまり値引きの余地がある。
ミニバンにしてもSUVにしても、どちらもニーズが高いボディタイプであり、車両価格から10%~15%の値引き率が期待できる。
一方、最近では人気が低下しつつあるセダンやステーションワゴンは高級車の車種であれば比較的値引きがされやすいが、そうでなければ値引き率も低めになるだろう。
中古車の値引き交渉術
先にも解説したように中古車の値引きを実現するのは簡単だといえないが、チャレンジする価値は十分にある。無理そうであれば素直に相手に合わせるというのも大切なことだ。
それを踏まえて今から5つにわけて中古車の値引き交渉術を見ていこう。
1.他の販売店との比較交渉
中古車の値引きの際、他の店と比べて交渉してみよう。ただし、以下のような交渉の仕方ではあまり意味がない。
「A店では〇〇円で売られていたので、もっと安くなりませんか?」
中古車は一台ごとで車両状態が異なるため、単純な価格比較では交渉にはならない。だが、他の店でも検討しているという状況を示すと、相手は客を逃さないような態度に出ることが普通だ。
「A店ではこういう車が〇〇円で販売されていて、〇〇円なら安くしてもらえると言われました。もしこちらでもう少し安くなるなら、この店で買おうと思ってるんですが…」
値引きできたらこの店で買うつもりだというアプローチで交渉するのがいいだろう。このとき、具体的にいくら値引いてほしいとは言わない方がいい。
中古車値引きの際、買い手の不透明な部分が多いため、相手の提案を尊重しつつ値引きを働きかけることがポイントだ。
見積書を用意しよう
他店と比較して交渉する際には見積もりを用意しておくといいだろう。繰り返しになるが、中古車は外装・内装、走行距離、エンジン回り、オプションなど状態が一様ではない。
見積書には見積もりの詳細情報が記載されているため、それを相手に見せつつ交渉すると効果的だ。できるだけ他店が意欲的に販売しようとしているのが見えるようにアプローチしよう。
2.予算の限界を低めに提示
中古車値引きの交渉の際、店側の提示に合わせつつ安くしてもらうことがポイントだ。こちらが主導権を握って前のめりに値引き交渉しても、店の都合上、無理なものは無理といわれて交渉できないケースもあるからだ。
相手に主導権を持たせることを前提に交渉をする場合、事前に予算を決め、その予算よりも低く示しておく。例えば実際の予算の上限が150万円だったとしよう。
「予算はどれくらいですか?」と店に尋ねられたときに、「130万円」だと答える。
「この車なら130万円は難しいですね。140万円でどうですか?」
この場合であれば予算よりも10万円安く購入することができたことになる。
この例から分かるように、手に入れたい車の販売相場、値引き率をある程度把握しておく必要がある。あまり安く予算を告げると、他の車を選ぶようにすすめられることもあるので、適度な提示を設定しよう。
3.「この店で、今日買う」という姿勢
具体的な値引きテクニックに見えないが、案外、もっと重要といえるのが「この店で買う」という意思を示すことだ。
値引き交渉は、こちらが本気で買うつもりがあると相手が分かった時から始まるといえる。買うかどうか分からない客がいくら安くしてほしいといっても、店は取り合ってくれないだろう。
「こちらの店で買おうと思ってるんですが…」と前置きしたり、会話のなかに含んだりして、交渉の際、今日この店で購入することを一番に考えていると伝わる発言でアピールしよう。
4.オプションの値引き交渉
これまで説明してきた値引きは車両本体価格の交渉についてだったが、オプションの値引きをする価値も十分にある。
むしろカーナビなどオプションの方が相手も値引きをしやすく、仮に車両の値引き交渉が難しい状況になった時でも、相手が落としどころとして、オプションの値引きを提示してくるケースも多い。
そのため、最初はあくまでも車両本体の値引きだけの話題に絞って交渉を始めることも大切だ。
5.車庫証明・納車費用・下取り費用をおさえる
見積書を作成してもらうと分かるが、購入代金には諸々の費用が含まれている。検査登録手続代行費用、車庫証明手続代行費用、納車費用などだ。
車庫証明など自分で行えるものは依頼しないことで購入代金を値引くことができる。
中古車ディーラー店で購入する場合の注意点
中古車のディーラー店で下取りも一緒に行う場合には下取り査定料がかかる。これも大きな金額だから、査定無料の買取店で車を売るようにした方がいいだろう。
値引きをして少しでも安く買いたい方は正規ディーラーで中古車を購入するのはあまりおすすめできない。
一般的に値引きして販売するスタンスではないところが多い。また、「値引きできないので、下取りを高く査定しておきます」という交渉をしてくることもあるが、実は下取り額と購入額の合計の枠を設けており、帳尻合わせをしているケースもある。
値引きなしで中古車を安く購入するコツ
中古車の値引き交渉を実現するのは難しいので、うまくいけば儲けものといった程度で捉えておく方がいいかもしれない。
現実的に中古車を安く購入するための方法は第一に、車の売却でできる限り高く買い取ってもらい、購入資金を作るというものだ。
車の買取は売り方を工夫すれば20万や30万円の差が出ることもある。まずNGな売却方法は下取り。たとえ中古車をディーラー店で購入するとしても、売る時は「買取店」を使おう。
中古車専門店は近年ますます競争が激しくなっている。自社で買い取れないと利益を生みだせないので、どの店も必死に交渉してくれる。
とはいえ、悪徳業者やできる限り安く買い叩こうとしてくる買取店もなかには存在する。ハズレを引けば下取りほど安く査定されるので、これも十分に注意が必要だ。
最高額をつけてくれる買取店を作るにはなるべく多くの業者で査定をしてもらうことが必須だ。できれば最低3社くらいは見てもらった方がいい。そうすることで自然と買取相場も知れるうえ、店同士の競争によって査定額アップもされやすくなる。
最高額で査定してくれる買取店は「一括査定」で見つかる
自力で買取店を調べて店を走り回るのは時間も労力もかかるので、「一括査定」を利用することをおすすめする。
一括査定サイトに申し込むと愛車にマッチした業者をいくつか紹介してくれるうえ、同時に査定依頼も行える。買取店はどこも他店も査定することを分かっているので、こちらから言い出さなくとも自然と他店をライバル視した査定をつけてくれる。
競争原理が働いて自然と査定額がアップするようになっている。できる限りで車を高く売り、車を安く買うために車一括査定で売却することから始めよう。
まとめ
今回は中古車の値引き術について書いてきた。値引き交渉は場合によっては難しく、あまり無理のない範囲で交渉することが大切だ。
値引きに注力するのであれば、まずは今乗っている車の売り方にこだわる方を優先させよう。購入資金を増やすことで、次に乗る車の選択肢も広がるはずだ。