車を引き渡し後、再査定により不具合が発見されたとして減額を提示されるトラブルが起こることがある。実際にこういったトラブルは稀ではなく、減額された額で妥協したり売買契約書に記載されているキャンセル料を支払う人もいるようだ。
ここでは車買取で起こりえる再査定について、減額された時の対処法を紹介している。またこういった再査定トラブルに遭わないための方法も紹介しているので、車買取査定を受ける前にチェックしておいてほしい。
車買取で起きる再査定(二重査定)に関するトラブル
車買取では自分の愛車が思った以上に高く売れた、と安心してばかりもいられない。売買契約を交わしてから起こるトラブルが再査定だ。一般的な再査定に関するトラブルの流れは以下の通りだ。
- 査定額に納得し売買契約を交わす
- 車の引き取り後、後日売却額を振込すると伝えられる
- 再査定の結果、不具合が見つかったとの連絡
- 査定額が減額もしくはキャンセルするならキャンセル料を請求される
最終的には、減額した査定額を振り込んで売買契約完了とするか、キャンセル料を支払って契約解除するかの二択を迫られるのだ。
こういったトラブルは必ず起こりうるものとは限らないが、実際に起こっているのも事実だ。ただ中には再査定を目的として買取をする悪徳業者がいるのだから、素直に応じる必要はない。
【実例】実際にあった再査定トラブル
国民生活センターに寄せられた実際にあった再査定トラブルの事例を紹介しよう。
事故車と言われ、引き渡し後に減額された新車を買うために今の車の査定を申し込んだ。3日前、自宅に来てもらい査定してもらったら22万円で買い取ると言われ、その場で契約し車を引き渡したが、2日後業者から「隣の県のオークション会場に運び点検したら、事故車と判明したので半額での買い取りになる」と言われた。3年前に6年落ちで購入したが、そのときには事故車だとの話はなく自分も事故を起こしたことはないと伝えたが、業者は、「納得がいかなければキャンセルするが、運送費 3 万円を解約料として払え、払わないと車は返さない」と言う。
車の再査定は法律的に問題ない(瑕疵担保責任)
再査定のトラブルの際、業者が主張してくるのが瑕疵担保責任である。瑕疵担保責任とは、重大な欠陥があったにも関わらずそれを虚偽申告して売った場合、売った側が責任を負うという法律でも定められているルールだ。
つまり、車買取の際にはわからなかった不具合が後から発覚したのだから、売った側が責任を取れという意味合いだ。実際に事故歴があるにもかかわらず、それを事故歴はないと答えて売却した場合は業者の主張は認められてしまうのである。
ただ中古車として購入した車だと前オーナーによる事故歴等が分からないこともあるだろう。その場合は本当に知らなかったわけだから、仮にそれに伴う不具合があったとしても瑕疵担保責任には当たらない。
車買取で再査定(二重査定)が起きる『4つのケース』
再査定が起こるのは、一般的に以下の4つのケースがほとんどだ。
【ケース1】車の重要機関(エンジンやバッテリーなど)のトラブル
再査定のケースとして多いのがエンジンやバッテリーなどの車の重要機関のトラブルだ。これらの部分は見た目ではわからないし、数分走行したくらいでは症状がでないこともある。
実際に念入りに検査すればわかる部分だが、車査定ではそこまで行われないケースが多いのだ結果的に見落としとなってしまい、車を引き取りした後に再査定で発覚するということは十分に考えられることである。
しかもこれについては、運転している本人も自覚していないケースも多いだろう。もし自分が運転していて不具合を感じているなら査定の時点で伝えておくことが大切だ。
【ケース2】事故歴・修復歴・水没歴のあった車
再査定では車を引き取り後、事故歴や修復歴、水没歴のあった車と言われてしまうこともある。事故車・修復車扱いとなれば車の価値は大幅に下がってしまうのだ。だが事故車かどうかはプロの査定士なら見落とすことはまず考えられない。
むしろそこを重点的にチェックしているからだ。だが水没歴は外装を見た限りでは気が付かないことも多い。結局、精密検査をして発覚することもあるのだ。そのため、事故歴や修復歴はもちろん、水没歴も申告が必要だ。
だが中古車として購入した場合には、わからない場合もあるだろう。もし購入した時期が1年以内なら、逆にその中古車販売店に瑕疵担保責任を問うことは可能だ。またそれ以外でも実際に分かっていない事なのだから瑕疵担保責任には問われない可能性もある。
【ケース3】メーターの改ざん
車買取では走行距離が査定額に大きく影響することが間違いない。年式によってはそれ相応の走行距離としてマイナス査定になることはないが、明らかに走行距離が多いと査定額が大きく下げられてしまうのだ。
そのため、少しでも高く売るためにメーターを改ざんする人もいるのだ。メーター改ざんは見ただけではわかるものではなく、後から発覚することがほとんどである。
メーター改ざんは詐欺にあたるため、本当にしていたなら減額やキャンセル料込みの返却は受け入れなくてはいけないだろう。
だが自分では改ざんしていない、というケースもあるだろう。中古車を購入したなら可能性はゼロではなく、自分も騙されている可能性もある。メーターの改ざんを事前に調べる方法もあり、気になる人は試してみてもいいだろう。
【ケース4】内外装のキズ・へこみ・汚れ・ニオイ
再査定が起こるケースとしては、内外装の傷やへこみ、その他汚れやニオイなどがある。これらのポイントはもちろん減額の対象になることもある。だがハッキリ言うと、これらの不具合は査定時にわかる部分でもあるのだ。
瑕疵担保責任とは重大な欠陥を隠して売ったことに対してのものだ。内外装の傷やへこみは、査定員がチェックすればわかることであり、汚れやニオイに関しても同様である。
特に事故の有無を聞かれて、正直に答えた上での査定なら再査定は査定員のミスになるのだ。ただし査定後、車を引き渡す前につけてしまった傷であれば、再査定も当然である。
それがなければ、仮に減額や返却を求められたとしても、強気の姿勢で対応してもいいだろう。
覚えなく再査定(二重査定)になった際の『3つの対処法』
傷やへこみ、事故歴などを隠して査定してもらった人は再査定は当然だが、全く覚えがなく再査定になる人もいるはずだ。そんな時には以下の3つの対処法を考えてみるべきだ。
【1】買取契約をキャンセルする(キャンセル料不要)
買取額の減額は納得がいかない人がほとんどのはずだ。そんな時には買取契約をキャンセルする方法がある。業者はキャンセル料を請求してくるのが必至だが、それに応じる必要はないのだ。
これは消費者契約法の10条、消費者の利益を一方的に害する条項と合致する行為であり、キャンセル料なしで無効とできるのだ。そのため契約書にキャンセル料が記載されていても関係ないのである。
【2】減額された箇所を確認後、その金額でダメなのか再交渉
再査定され減額を提示された場合は、最初の金額でダメか再交渉してみる価値はある。交渉の際には以下のポイントをアピールしてみるといいだろう。
- 瑕疵担保責任の対象にはならないことを主張
- 業者側の重大な見落としであることを主張
- 車を見て減額の理由を確認させてもらう
- 専門家に相談する旨を伝える
再査定は査定員の見落としでもあるのだから、それが広まれば業者の評判は悪くなる。評判を落としたくない優良業者なら最初の提示額で交渉に応じる可能性は十分にあるのだ。
【3】消費者生活センターに相談をする
再査定されて業者と話し合っても、減額やキャンセル料なしでの契約無効に応じない場合は消費者生活センターに相談するのが最終手段だ。その際には傷や事故歴などの証明書を発行してもらい相談すれば解決するはずだ。
だがこれはあくまで事故を隠したり、メーター戻しなどをしていないなど、自分に過失がないことが条件だ。
たいていの買取業者は消費者生活センターに相談する、と伝えた時点で折れてくるだろう。悪徳業者などは脅しまがいの事を言ってくるかもしれないが、それに屈してはいけない。
再査定を防ぐために信頼できる買取業者(JADRI登録)を選ぶ
再査定をされても、自分に非がないのであれば減額や高額のキャンセル料の請求に応じる必要はない。だが、たとえ最終的に最初に提示された額で話がまとまったとしても、気分がいいものではないだろう。
悪徳業者ならトラブル上等で再査定していることもあり、瑕疵担保責任を武器にして強気に説得してくることもある。もしこういったトラブルを避けたいなら信頼できる買取業者を選ぶことが重要である。
とはいえ車買取は一生のうちそう何度もあることではなく、信頼できる買取業者がどこかはなかなかわからない場合もある。そんな時にはJADRIに登録している買取業者を選ぶといいだろう。
優良買取業者を選ぶなら車一括査定『ナビクル(旧:かんたん車査定ガイド)』
車売る場合、一度に複数の業者から査定してもらえる車一括査定を利用する人もいるだろう。
だが、車一括査定に登録している業者のうち、どこが信頼できる業者なのかわからないため再査定のトラブルに巻き込まれてしまう可能性もゼロではない。
もし、廃止前のJADRI登録業者を選んで一括査定してもらいたいなら、ナビクル(旧:かんたん車査定ガイド)を利用するといい。
ナビクル(旧:かんたん車査定ガイド)に登録している車買取店は一定規模以上の優良登録業者のため、どこの業者を選んでも再査定の心配は皆無である。
まとめ
思った以上の額で車が売れたのに、後から再査定により減額などを伝えられるとガッカリするはずだ。売買契約書に記載している事を盾に強気に減額を申し出てくる業者も少なくない。だが、自分に非がない場合はそれに素直に応じる必要はないのだ。
瑕疵担保責任がない旨を伝え再交渉すれば、そのままの額で話がまとまることが多い。だがそういったトラブルを最初から避けたいのなら、ナビクル(旧:かんたん車査定ガイド)などのJADRIに加盟している業者しか登録できない車一括査定を利用するのも一つの方法だ。