通勤や子供の送り迎えなどで車を使っている人も少なくないはずだ。その状態で別居した場合、車をどうするかが問題になってくる。
なぜならもし離婚を前提に別居しているなら、離婚後は車は財産となるため財産分与の対象となってしまうからである。
ここでは別居中に車を売却する際に重要になってくる車の名義人の関係を解説している。また名義人によってこれから行うべき対処法と注意点もあるため、もし離婚を前提に別居している人は参考にしてもらいたい。
別居中に車売却するならまず『名義人』を確認
別居中に車を売却するのであれば、まずは名義人を確認しなければいけない。車を使用しているのが自分だからと言って、必ずしも自分が名義人とは限らないのだ。名義人としては以下の3つのケースが考えられる。
名義人が【自分】だった場合
車の名義人が自分だった場合、自分の持ち物であるため問題なく車を売却ができるのだ。離婚を前提としていたとしても、別居中であればまだ財産分与の対象にはならないため特に大きな問題がないはずだ。
車を売却するにはいろいろと書類も必要になるが、自分が名義人なら仮に手間はかかっても配偶者と連絡を取ることなく書類を準備できる。
これがもし別居中の状態から正式に離婚となれば、仮に名義が自分のものであっても財産分与の対象となってしまうことがある。財産分与は基本的に夫婦で半々となるため、もし車の価値が100万円だとしたら以下のような選択肢を選ぶことになる。
- 売却して50万円ずつ分与する
- 売らずに分与に相当する50万円を配偶者に支払う
名義人が【他人】だった場合
車の使用者は自分でも名義が他人すなわち配偶者だった場合には、所有者は配偶者のため勝手に売却することができないのだ。配偶者に内緒で売却しようと思っても、名義人が自分ではないため買取業者でも買取できないのである。
そのまま離婚してしまうと、仮に車はそのまま自分が使用してもいいということになっても名義変更が必要になってくる。もちろん別居中も名義変更は必要だが、離婚後となればさらに煩雑になるしせっかく縁を切ったのに、また連絡を取り合わなければいけなくなるのだ。
連絡が取れればまだいいのだが、場合によっては住所も電話番号もわからなくなるなんてケースもある。そうなると売却はおろか廃車にすらできなくなってしまう。そうならないためにも別居中に話し合いをして決める必要があるのだ。
名義人が【ディーラー】だった場合
車を購入する際、マイカーローンを組んで支払う人も少なくないはずだ。そしてまだローンが完済していないという人もいるだろうが、そういう人は名義人がディーラーやローン会社になっているのである。
ディーラーやローン会社が名義人なのだからそのままでは売却できない。だがローンを一括返済すれば所有権は解除され、売却が可能となるのだ。ただその場合、以下のような2つのケースが考えられる。
- ローンの残債より車売却額が上回る
- ローンの残債より車売却額が少ない
車売却額のほうが多ければ、その残った額を夫婦で半分にして財産分与する事となる。またもし別居後も車に乗り続けるのであれば、ローンは誰が支払っていくのかもより難しくなっていくため、いずれにしても別居中に売却したほうがいいかもしれない。
別居中に車を売却する前に知るべき『2つの注意点』
別居中に車の売却を検討している人は、いくつかのポイントに注意しないと損をしてしまうこともあれば罪の問われる恐れがあるので注意してもらいたい。主に以下のポイントは注意が必要だ。
別居中に無断で車を移動すると窃盗罪になる可能性も
車を使うのは自分でも車の名義人は配偶者ものというケースは少なくないはずだ。その状態で別居をした場合、おそらく車も一緒に別居先へ持っていくこともあるのではないだろうか。
ただ名義人が配偶者になっていると、その配偶者が勝手に別居先から車を持っていくこともあるかもしれない。
名義人が配偶者のものなのだから問題のない行為かと思うかもしれないが、仮に名義人だとしても普段使用している車を無断で持っていくと、それは窃盗罪になる可能性もあるのだ。
逆のパターンで別居中の配偶者に持っていかれたというケースもあるだろう。
車は財産分与の対象だが”結婚前もしくは親から譲り受けたものだと除外”
車を所有したまま離婚をした場合、原則として車も財産とみなされるため財産分与の対象となってしまうのだ。仮に自分で働いたお金をためて買った車だとしても、それは双方の収入で購入した車とみなされるのが一般的である。
財産分与の割合は基本的には夫婦で半分にすることになっている。だがもし車を購入したのが結婚前というのであれば、結婚前に取得した人の持ち物となるため財産分与の対象からは除外されるのだ。
また婚姻中に取得した車だとしても、一方の親が頭金を出してくれたという場合は、その頭金部分を差し引いて財産分与することもできる。
そして人によっては親から譲り受けた車を乗っている人もいるだろう。それについては双方の収入で取得したものではないため財産分与の対象からは除外されるのだ。
車売却時に任意保険の手続きも忘れないように
車を売却する場合は所有者が誰なのか、ローンが残っていればどうするのか、そして財産分与はどうなるのかいろいろと考えることや手続きも必要となってくる。その際に忘れてはいけないのは任意保険の手続きである。
車を手放す場合には、掛けていた任意保険も解約しないと無駄な費用を支払うこととなる。任意保険は一般的には1年分を一括で支払うことがほとんどであるため、途中で解約をすれば残りの期間分の保険料を返金できるのだ。
中断証明書を発行していれば、最長10年間は等級を維持できるが、これをしないと今度車を購入して任意保険に加入した時には6等級からのスタートとなってしまうのだ。
まとめ
離婚を前提とした別居をしている場合、いろいろと考えなければいけないことは多いが車の売却も頭に入れておかなければいけない。
離婚後に売却するとなると、名義人が誰かによって手続きが面倒になるし、財産分与の対象となってしまうのだ。理想としては別居中に売却したほうがスムーズに手続きができる。
離婚を前提として別居しているなら、離婚に向けて配偶者といろいろと協議することも出てくるはずだ。その時に車についても話し合いをしておけば、離婚後は本当の意味で新しい生活がスタートできるのである。