車査定ではシートの汚れや臭いもマイナス評価になってしまうことも少なくない。これくらいの汚れならと思って査定を受けると大幅減額になることもあるのだ。
特にタバコやペットの臭いは車の持ち主は気が付かないことも多いため、そのまま査定を受けてしまう恐れもある。
ここでは、シートの汚れや臭いがどれくらい車査定に影響するのかを解説している。また、少しでも査定を上げるための清掃方法などもアドバイスしているので、車査定の前に試してもらいたい。
車査定でシートの汚れ・破れ・タバコの臭い・穴はマイナス評価に
車査定では、車種や年式、走行距離の他に、実車を見て査定する部分もあるのだ。一般的にボディに傷や凹みがないかという点を重視しがちだが、車内もチェックされるのである。
車内の査定ではシートの汚れや破れ、タバコの臭いや焦げ穴などがあると大きくマイナスになるのだ。
もちろん、シートの汚れなどは経年劣化部分もあり、ある程度許容範囲内のものもある。ただ、それを超える汚れや臭いがある場合はたいていはマイナスになってしまうのだ。
JAAIの査定項目にシートの評価基準が存在する
良質車 | +20点(+2万円) |
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内装部分の傷 | -10点(-1万円) |
シール、テープ、接着剤等の跡 | -10点(-1万円) |
ハンガーパイプの付いているもの | -10点(-1万円) |
異臭(タバコ、ペット、芳香剤等) | -40点(-4万円) |
ペット等の毛が付着 | -40点(-4万円) |
天井、内張り等にタバコのヤニが付着 | -40点(-4万円) |
シートの汚れや臭いは基本的に車の安全走行には関係しない部分だ。そのため、車買取店の判断で査定されるのだろうと思うかもしれないが、これについてはJAAIの査定項目にしっかりとシートの評価基準として明記されているのである。
もちろん、汚れも臭いも程度は異なるため、そこは査定員の判断によるところも大きい。だが、基本的に汚れや臭いが多少でも残っていれば、それが中古車として販売する際にリスクとなってしまうため、JAAIの評価基準通りにマイナスになることが多いのだ。
シートの種類によって車の査定額が変わる
車のシートは、その車によって材質やデザインが変わっており、大きく分けると3つの種類に分類されるのだ。シートの汚れや臭いによる査定額の減額は、そのシートの種類によっても変わるため、汚れの状態が同じでも査定額は変わってくるのだ。
【本革シート】査定額の評価基準と点数
フロントシート | 50点(-5.0万円) |
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リアシート | 100点(-10.0万円) |
高級な車に乗っている人は、オプションで本革シートをつけている人もいるだろう。本革シート自体も高級なものであるため、万が一本革シートが汚れや傷、臭いなどがついていると車査定額も大幅に減額されてしまうのだ。
減額となる点数は上記の通りである。
1点がマイナス1,000円となるため、フロントシートの汚れや臭いがあると、5万円の減額になってしまうのだ。そのため、本革シートは特に汚れや臭いには気をつけたいところだ。
【ベンチシート】査定額の評価基準と点数
布シート | 40点(-4.0万円) |
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ビニールレザー | 30点(-3.0万円) |
ベンチシートとは、公園のベンチのように座る位置が長くなったシートだ。ベンチシートはセパレートシートと違って、背もたれ部分とクッション部分がまとめて査定されるため、仮にクッション部分のみ汚れていても全体として評価されるのだ。
そしてベンチシートといっても、その材質によってシートの汚れや臭いによる減額内容が変わってくる。上記のように、布シートのベンチシートは汚れがあると4万円ほどの減額になるのだ。
【セパレートシート】査定額の評価基準と点数
布シートのクッション部分 | 25点(-2.5万円) |
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布シートの背もたれ部分 | 35点(-3.5万円) |
ビニールレザーのクッション部分 | 20点(-2.0万円) |
ビニールレザーの背もたれ部分 | 30点(-3.0万円) |
セパレートシートとは、ベンチシートのようにつながっておらず、1人用の座席となっているシートのことだ。またベンチシート同様、シートの材質によっても評価が変わってくるのだ。
セパレートシートの場合、背もたれ部分とバッグ部分に分けて査定されるため、ベンチシートよりも減額が少ないのだ。だが、背もたれ部分とバッグ部分両方が汚れていると、逆に減額は大きくなる。
車査定の前にやっておきたいシートの汚れ・臭いを落とす『5つの方法』
車査定の際にシートの汚れや臭いがあると、マイナス査定は避けられない。ただ、車査定の前に汚れや臭いを落としておけば、大幅なマイナス査定を避けられる可能性もあるのだ。ここではポイントなる5つの方法を紹介しよう。
【方法1】シートの表面についたホコリやごみの落とし方
シートの表面にホコリやごみがついているだけで査定額がマイナスになることもあるのだ。また、どのような車でもシートの間などにはホコリやごみがあるため、車査定を受ける前には必ず掃除したほうがいいだろう。
ただ、汚れの状態によって落とし方は違ってくるので、その状態に合わせた落とし方が必要である。
車内の汚れ方 | 対処法 |
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軽度のホコリやごみ | マイクロファイバーウェスや掃除機で吸引 |
中度のホコリやごみ、髪の毛 | 掃除用粘着クリーナー |
重度のホコリやごみ | スチームクリーナー |
【方法2】汗が染み込んで変色したシートの汚れを落とし方
夏場など汗をかいたまま車に乗る人も少なくないはずだ。また車で通勤している人は、汗をかいた衣服のまま運転する人もいるだろう。1回だけではたいした汚れにはならないが、毎日となると汗はしみ込んでシートが変色することもある。
そんなときには、以下のような手順で落とすといいだろう。
- シートにセスキ炭酸ソーダ水を吹きかける
- ティッシュで何度も叩いて拭き取る
- 落ちない汚れは濡れタオルでシートを濡らす
- 固形せっけんを塗る
- 濡れタオルでせっけん成分を拭き取る
- ティッシュで仕上げた後、冷風で乾燥させる
基本的には、セスキ炭酸ソーダ水だけでも綺麗になるが、何度も繰り返しても変色が落ちない場合には固形せっけんを使用するといい。
【方法3】飲み物をこぼして汚れたシートの落とし方
車内では飲み物を飲むこともあるだろう。運転しながらだと不安定のため誤ってこぼしてしまうこともある。また、小さい子供がいれば尚更ジュースをこぼされてしまうこともたびたびあるはずだ。
万が一、シートに飲み物をこぼしてしまった場合、以下のような手順で落とすのがおすすめだ。
- 濡れタオルでシートを濡らす
- 水で薄めた中性洗剤をつけたタオルでシートを叩いて洗う
- 濡れたタオルで叩いて洗剤を拭き取る
- 乾いたタオルで水分を拭き取る
飲み物をこぼしてついた汚れは、放置しているとなかなか取れなくなってしまうものだ。そのため、こぼしたらできるだけ早く処理するのがいいだろう。
また、スチームクリーナーがある場合には上記の手順よりも手軽に落とせるのでおすすめだ。
【方法4】タバコの臭いが染みついたシートの消臭方法
車内でタバコを吸う人は、その臭いがシートに染みついていることが多々あるのだ。ただ、シートについた汚れと違って、タバコの臭いが染みついたシートは、シートを掃除するだけでは十分ではないのである。
なぜなら、臭いはシートだけでなく車内全体に染みついてしまっているからだ。そのため、シートだけ掃除しても、車全体からまた臭いが付いてしまうこともあるのだ。タバコの臭いを消すには以下の方法がある。
- フロアマットを取り外し、洗剤で洗って乾燥させる
- 掃除機で社内のホコリやごみを吸引する
- 濡れた雑巾で車内を拭く
- シートに重曹水を吹きかけ、タオルで拭き取る
- エアコンフィルターの掃除や消臭剤を使用して臭いを断ち切る
- 車内を乾燥させる
- 車内用の消臭スプレーなどを用いて仕上げる
【方法5】ペットの臭いが染みついたシートの消臭方法
犬や猫を飼っているなら、そのペットを車に乗せる人もいるだろう。そうなると、シートにペットの臭いが染みついてしまうことも少なくない。ペットを飼っている人は臭いを感じる人は少ないのだが、飼っていない人からすれば、ケモノ臭はやはり気になるのだ。
ペットの臭いもタバコの臭い同様、シートだけ消臭しても済むわけではない。特にペットの毛が落ちていると、それが臭いの原因になってしまい、またシートに臭いが付いてしまうこともあるのだ。
ペットの臭いを消すには以下の方法がある。
- 掃除機や粘着クリーナーなどでペットの毛を取り除く
- シートにペット専用の消臭スプレーを吹きかける
- エアコンフィルターの掃除や消臭剤を使用して臭いを断ち切る
シートの汚れや破れはシートカバーで隠さないのがコツ
シートが汚れていて掃除をしても落ちない、もしくはシートが破れてしまって修復不能というケースもあるだろう。そんなときには、ついその汚れや破れを隠すため、市販のシートカバーをつけて車査定を受ける人もいる。
だが、これはやめたほうがいい。なぜなら市販されている安価なシートカバーは、取り外して査定されるので隠すことは不可能だからだ。
もちろん、これ以上シートが汚れないようにシートカバーをするのがいいが、査定のためだけにするのは無意味である。
まとめ
このようにシートの汚れや臭いは車の査定にあまり影響がないのではと思う人も多いが、ちょっとした汚れや臭いでも大幅に減額されてしまう可能性が高いのだ。ただ、状態によっては正しい方法で掃除すれば綺麗にすることも可能である。
車査定の前だけでは、なかなか落としきれないシミもできてしまうのだから、普段から定期的に掃除しておくよう心がけることも大切だ。