愛車を売却すると、思っていた以上の高値で売れたという場合もあるはずだ。こうした時に、税金がかかるのかと疑問に思う人もいるかもしれない。
だが所得があれば、かかるのが税金だという認識は少し違っているのだ。先に伝えておくと車売却においては、ほとんどのケースで税金はかからないのだ。
その理由について詳しく解説していきたい。一部税金がかかるケースもあるので、確定申告の方法などもあわせて仕組みを紹介しておく。
“車売却で税金がかからないが一般的”かつ確定申告が不要なケース
車売却で税金がかかるのかという話だが、ほとんどケースでは考える必要がない。なぜなら買取額が課税の対象になるには、下記で紹介するような条件から外れる必要があるからだ。では課税対象にならない条件を確認しよう。
【ケース①】車の売却額が購入価格を下回ると非課税
原則として所得税がかかるのは利益に対してである。ただ収入があれば課税の対象になるわけではない。
- 車の購入価格よりも売却額高くなるケースが該当
- 通常の車売却では購入価格より高くなるケースはほとんどない
この条件をまとめるとこうなる。つまり買った時よりも売った時の方が高ければ、利益になるという考え方だ。通常の市販車において購入価格よりも、売却額が高くなることはまずないだろう。
そのため一般的な車を売る分には所得税が課税されることはない。売却額の方が高くなるのは、製造台数が少ない希少車や一部の国産スポーツカーくらいだろう。その他の車ではほぼ該当しないので、税金のことは考えなくても大丈夫だ。
【ケース②】売却額が購入金額を上回る通勤用で生活のための車
もう1つ非課税になる条件となるのが、生活のために使っている車の場合だ。
- 通勤用に利用している
- 買い物などに使っている
などのように主な使用目的が生活に関するものである車の場合、課税対象とはならないのである。一般的な車種全般が該当するだろう。この生活用の車の売却額が、仮に購入額よりも高かったとしても課税対象にはならない。
通常は生活用に使っている車の売却額が購入額を上回ることはないだろう。ただし例外的な車がある。
- 高級な輸入車
- 高級なスポーツカー
などの場合は生活用として認められない可能性がある。
【ケース③】個人事業主も生活に必要な車は売却益が出ても非課税
ここまではサラリーマンの人が車売却を利用したケースを考えてみた。次に個人事業主として働いているケースを確認しておきたい。
- 個人事業主でも生活用なら非課税になる
- 個人事業主がビジネスで使っている場合、利益が出ると課税対象になる
上記のようにケース別に分かれているのだ。個人事業主でもプライベートな生活用に使っている車なら、原則として非課税になる。そのため確定申告でも記載する必要がない。
ただし個人事業主が営業用の車などを売却した場合、利益が出ると課税対象になるので注意しておきたい。このケースでは当然だが確定申告も必要になってくる。
生活用か事業用かで、個人事業主の場合は扱いが変わるので覚えておこう。
《例外》車を売却時に税金(所得税)&確定申告が必要な3つのケース
前段でも軽く触れたのだが車売却による利益は、原則として課税の対象にはならない。しかし一部の例外として課税対象になる場合があると書いた。そこでこの課税対象になる3つのケースを、もう少し詳しく見ておこう。
【ケース①】高級車やスポーツカーなど趣味の車
生活用として使われている車の売却では課税の対象にならないのだが、レジャー目的や趣味の車の場合は、利益が出ると税金の対象になってしまう。
- 輸入・国産を問わず高級車
- スポーツカーやクラシックカー
などのような車については生活用とは見なされにくい。もし個人事業主で不安がある場合は、税理士や税務署などに確認をとった方がいいだろう。そこでどのように判断されるかで、結果が違ってくるはずだ。
【ケース②】個人事業主が事業用の車を売却した場合
もう1つ車売却で課税対象になるのは、個人事業主が事業用の車を売却するケースだ。この場合でも問答無用で課税対象になるわけではない。
- 営業者など事業に使っている車が対象
- 利益が出ると課税対象になる
といったような形になっているので覚えておくといいだろう。ここで注意したいのは、飽くまでも利益が出た場合に限ることだ。事業用の車でも利益が出ないケースでは税金の対象にはなっていない。
売却益は「事業所得」ではなく「譲渡所得」
では上記のように車売却で利益が出たとしよう。この時の税金の項目は何になるのかだが、事業所得ではなく譲渡所得となっているのだ。これは個人でも個人事業主でも同じ扱いになる。
そのため確定申告の時にも、譲渡所得の欄に記入することになるので覚えておくといいだろう。
【ケース③】車販売をする個人事業主は「事業所得」
中古車の売買を業として行っている個人事業主の場合では、事業用の車の売買でも本業にあたると判断される。そのため譲渡所得ではなく、事業所得として扱われることになるのだ。
譲渡所得と事業所得では確定申告の時の計算方法が違ってくるので、しっかりとこの違いを理解しておきたい。
ただかなり限定的な条件となっているので、個人事業主であるのなら特に間違えるような点ではないだろう。
国税庁のサイトを調べよう~車売却時の確定申告の書き方~
車売却で利益が出てしまい、税金の対象になったとしよう。この時には確定申告が必要になってくる。個人事業主であれば毎年行っているので、特に戸惑うことはないかもしれない。
しかしサラリーマンの人の場合、確定申告の経験がないことから迷う人も多いだろう。そこで確定申告の書き方について見ていこう。
- 税務署の窓口に持参する
- 税務署宛に郵送する
- e-Taxを利用してオンラインで提出する
以上の3つの方法がある。確定申告の書類については、国税庁のサイトで記入できるようになっているので手間がかからない。
記入が終わった書類を印刷して窓口に行くか、所管の税務署宛に郵送するか、e-Taxで提出するかを選択できる。
①譲渡所得で申告する場合
では譲渡所得で申告する場合の記載方法を確認しておこう。
- 国税庁のサイトにアクセスして確定申告の書類作成へ進む
- 申告書第一表にある総合譲渡の欄を確認する
- 総合譲渡には短期譲渡所得と長期譲渡所得の2つがある
- 売却した車の所収期間が5年以内なら短期、以上であるのなら長期の欄に記入する
- 他の欄の項目を埋めていき、確定申告の書類を作成する
上記のような流れで確定申告の書類を作成していく。個人事業主の場合は、譲渡所得が総合課税になる。そのため他の総合課税と損益通算ができるだろう。
また売却時の契約書や、領収書などを一緒に提出する必要がある。契約書などの提出がないと届け出自体が認められないので、忘れないようにしておこう。
サラリーマンの人だと確定申告に馴染みがないだろう。もしわからない場合は税務署に足を運んでみるといい。書き方の相談にも乗ってくれるはずだ。
確定申告(譲渡所得)の計算方法
では確定申告を譲渡所得で行なう場合、どのように金額を計算するといいのだろうか。これには計算式があるので紹介しておく。
- 譲渡収入金額から取得費用と譲渡費用を足した分を引く
- 上記の合計から特別控除額となる50万円を引く
といった形で譲渡所得の計算ができる。譲渡費用とは運送や手続きなど売却のためにかかった費用のことだと考えて欲しい。言葉だけでは難しいので、実際に数字を入れて計算してみよう。
譲渡収入額は売れた額なので仮に100万円としておく。取得費用は購入にかかった費用で、譲渡費用は前述の通りだ。これを合わせて40万円としよう。
ここまでで計算すると、100万円から40万円を引いて60万円になる。この60万円から特別控除額の50万円を引くと10万円が残る計算だ。この10万円に対して課税されることになる。
ちなみに取得費用と譲渡費用の合計が50万円だった場合は差し引きが0円になるので、課税金額も0円となるのだ。
②事業所得で申告する場合
最後に事業所得で申告する場合も確認しておこう。流れとしては譲渡所得のケースとほぼ同じである。確定申告書に記載する欄が総合譲渡ではなく、事業所得の欄になるので覚えておくといいだろう。
- 総収入金額から必要経費を引いたものが事業所得
事業所得の場合は上記の計算式を使うことになる。車売却をした時の代金が総収入に入り、購入時の費用や諸費用などは必要経費の欄に入るのだ。事業所得の場合、自分の本業として行っている分と合算することになる。
そのため本業の方で赤字が出ているようなケースでは、車売却で黒字になったとしても相殺できるのがポイントだろう。本業が車の売買となるので、当然の措置だと言えるかもしれない。
まとめ
車売却を利用した時の税金について調べてみた。一般的な用途で使われている車を売ったとしても、ほぼ税金がかかることはない。そもそも税金がかかるのは車を売ることで黒字になったケースである。
ほとんどの車で購入額よりも売却額が高くなることはないだろう。加えて生活用として利用している車は、仮に利益が出たとしても税金の対象ではないのだ。
そのため個人事業主であったり、趣味の車と見なされるような高級車でない限りは気にしなくてもいいだろう。