車下取りや買取では大きな金額になる場合がある。特に人気のある車種で条件が良ければ100万円を超える値段になることも少なくない。
そうした時にトラブルを避ける意味でも領収書はあった方がいいのだ。一般的に車下取りや買取では業者を通すことが多い。その場合は特に意識をすることはないだろう。
しかし個人売買をする時には注意をしておく必要がある。そこで車下取りにおける領収書について詳しく見ていこう。
車を売る時に領収書の発行はしてもらうべきか
そもそも車を売る時に領収書の発行はしてもらうべきなのだろうか。ディーラーでの下取りや、中古車店における買取での売買が一般的な方法だが、領収書とは金銭を受け取った方が発行するものだ。
そのためディーラーや中古車店に、領収書を出すのはおかしくないかと考える人もいるだろう。この点に関しては売買契約書が代用できるのだ。
そのため発行しなくても良いのである。問題は個人売買なのだが、これはトラブル回避のために確実に発行した方がいいだろう。
車売却の領収書のメリット!ただし「売買契約書」でも代用可能
前段で中古車店などの業者を通した場合、売買契約書が領収書の代用になると伝えた。しかし何をもって代用していると言えるのだろうか。
- 車の売買契約が正式に締結されている証明になる
- 買取価格の記載がある
- サインと押印をすることになる
この3点から領収書の代用といったことになるのだ。
車買取業者に領収書を依頼すると「売買契約書」発行
車買取業者やディーラーによる車下取りを利用した場合、領収書について相談してみると、大抵の場合は売買契約書が代用できると説明してくれるだろう。しかし中には売買契約書が発行されないケースもある。
その時は発行して欲しいと言えば、対応してくれることがほとんどだ。ただし一部の業者は売買契約書を発行しない、または発行を渋ることがある。その場合は悪徳業者の可能性があるので注意したい。
こうしたケースでは消費生活センターに相談するといいだろう。くれぐれも契約書のない状態で話を進めないで欲しい。
車を個人売買する時は自分で作成「車買取の領収書の内容」
車の売買を業者を通すのではなく、個人間で行なうケースも増えている。その場合の領収書なのだが、自分で作成する必要が出てくるだろう。そもそも領収書の発行は義務ではない。
しかし車の買い手側としても、二重請求などを避ける意味で領収書はあった方がいいのだ。また個人売買では契約書そのものが作られない可能性が高いので、売り手側が発行しておくことでトラブル防止にもなるだろう。
ではどのように領収書を作ればいいのか確認していく。
【内容①】車を売買した者の氏名(買取した者&売却した者)
領収書を作成する時の基本となるのが、売買をしたものの氏名である。
- 車を買取して代金を支払った側の氏名
- 車を売却して代金を受け取った側の氏名
要するに個人売買でお金のやり取りをした当事者の名前を記載する必要がある。
氏名を記載することによって、誰が取引したのかを明確にできるだろう。仮に氏名がない場合は、誰が取引したのかわからなくなる。
【内容②】代金を受領した日付
領収書を作る時には代金を受領した日付も必須となっている。日付があることで、いつ取引がされたのかを証明できるためだ。
特に個人事業主がビジネスで使っている車を売却した場合、確定申告で計上しなくてはいけなくなる。
この時に領収書の日付がなければ、いつの確定申告で計上するのかわからなくなってしまうのだ。そのため日付が入っているかどうか、間違いはないのかを確認した上で発行するようにしたい。
【内容③】売買した金額
領収書を発行する上で最も重要なのが金額になる。いくらで車を売買したのかが証明できる部分であるため、記入ミスがないように確認しておきたい。
- 記入ミスがあると確定申告でトラブルになる可能性が高い
- 取引相手とのトラブルに発展する可能性がある
金額にミスがあると、主にはこの2つのトラブルになりやすいだろう。そのため両者で間違いがないか確認しておくのをおすすめする。
【内容④】売買した内容
領収書には売買した内容も記載しておくといいだろう。何に対しての取引をしたのかを明確にできるためだ。
特に個人事業主であるのなら、取引内容が明確でないと勘定科目がわからなくなるだろう。売買した内容の項目がなければ、何を取引したのかがわからない。
そのため確定申告でトラブルになる可能性がある。中古車の取引と簡単でも良いので、内容がわかるようにしておくと、トラブルを回避できるだろう。
【その他必要なもの①】印鑑
領収書を作る上で必要なものは他にもある。印鑑がその代表的なものだろう。実印ではなく認印で大丈夫だ。押印がなければ上記の内容が正しく記載されていたとしても、当事者が発行したものがわからない。
そのため取扱者印という項目を作って、そこに認印を押印しておく。また収入印紙を貼らないといけないケースで、忘れがちなのが割り印だろう。割り印も忘れないように押印しておきたい。
【その他必要なもの②】収入印紙
原則として個人売買であるののなら収入印紙を、領収書に貼る必要はない。しかし相手が業者であった場合は、印紙税法に則した収入印紙が必要となってくるだろう。
- 収入印紙がないと脱税扱いになる
- 過怠税が徴収される
収入印紙がないと上記のようなトラブルに発展することがある。そのため業者相手に領収書を発行するのなら、収入印紙を忘れないようにしておこう。ただ個人売買では恐らくほとんど該当しないはずだ。
【その他必要なもの③】領収書の控え
最後に領収書の控えを保管するのを忘れないようにしたい。一般的に領収書は2枚綴になっている。
- 買い手側に領収書を渡す
- 売り手側は控えを保管しておく
複写式なので控えは売り手側が保管する形だ。仮に買い手側が領収書を改ざんしたとしても、控えがあればトラブルを回避できる。そのため紛失しないように、しっかりと保管しておこう。
万が一に何らかのトラブルが起こったとしても、控えを保管していれば責任の所在がないことの証明につながるはずだ。
個人売買の際は領収書だけでなく契約書作成でトラブル回避
車下取りや買取で業者を通さずに、個人売買をするのなら領収書だけではトラブルが回避できないことがある。そのため個人売買であっても、売買契約書を作成しておくことをおすすめしたい。
売買契約書があれば、完全にトラブルを回避できるわけではないだろう。しかし多くのトラブルを回避できるので、できる限り作っておく方がいい。車の個人売買ではトラブルが頻発しているからだ。
では実際にどのような内容を記載すればいいのか確認してみる。
【必須項目①】車両の情報
売買契約書に必須となるのが車両の情報である。どんな車を売買したのか、この情報を売り手と買い手の両方が把握することが重要だろう。
- 車名とグレード
- ボディカラー
- 車体番号と登録番号
- 年式と型式
- 走行距離や内外装の特徴
- 事故歴や修復歴の有無
などのようにできるだけ詳しく記載しておくといい。後になってトラブルになる可能性を低くするためである。契約書に記載があれば両者ともに納得の上で、契約を結んだことになるだろう。
【必須項目②】引き渡し日や方法・輸送費など引き渡しの内容
売買した車の引き渡し日やその方法についても記載は必須となるだろう。個人売買で、家が近い場合などは買い手側が引き取りにくることもあるはずだ。
しかし遠方に住んでいる場合は、輸送業者を利用するケースが多いだろう。こうした場合での費用分担などについても、契約書にきちんと明記することでトラブルを回避できる。
- 引き渡し日
- 引き渡し場所
- 引き渡しの方法
- 輸送にかかる費用
最低でもこの4つの項目を作っておくといい。
【必須項目③】名義変更の期限
車の個人売買で最も多いトラブルが名義変更に関するものだ。そのため売買契約書を作るのなら、名義変更の期限についても詰めておくのが望ましい。
- どちらが名義変更を行なうのか
- 名義変更にかかる手数料の負担はどうするのか
- いつまでに名義変更を行なうのか
- 名義変更をした後に連絡をもらうのか
などをしっかりと相手と詰めておこう。通常は買い手側が名義変更を行なうのだが、契約書でははっきりさせておく方がいい。
また3月下旬の売却では、4月に間に合わないケースがある。その場合の自動車税納付なども契約書に記載した方がいい。
【必須項目④】支払い期限や方法
個人売買におけるトラブルで名義変更ととともに起こりやすいのが、金銭面でのトラブルだ。そのため売買契約書では以下のことを確認すべきだろう。
- いつまでに支払うのか
- どのような方法で支払うのか
- 期限までに支払われなかった場合のペナルティや取り決め
個人売買では銀行口座への振込が一般的だろう。期限までに支払いがあれば良いのだが、そうではない場合の取り決めもしておく方がいい。
【必須項目⑤】車両本体価格と諸費用の内訳
個人売買で諸費用がかかるのかと疑問に思う人もいるだろうが、意外とかかる部分が多いのだ。そのため契約書ではっきりさせておく必要がある。
- 輸送費用
- 自動車税の負担
などのように車両本体にかかる価格だけではなく、別途かかるであろう諸費用も明確にしておくと、トラブルが起こりにくくなる。後から聞いていないと言われることがなくなるので、記載漏れがないようにしたい。
【必須項目⑥】キャンセルの可否や違約金など
個人売買における契約書で忘れがちなのが、契約をした後にキャンセルできるのかどうかだろう。中古車業者を通す場合も、実はここでトラブルが起こることが多いのである。
- キャンセルができるのか
- キャンセルはできないのか
- できる場合は違約金がいくらになるのか
などの点は最低限でも良いでの考慮しておくべきだ。契約後に思っていた車と違うと言われてトラブルになることもあるので、キャンセルについてはしっかりと記載しておこう。
まとめ
車下取りや買取における領収書の発行について紹介してみた。業者を通して車の売買をするのなら、領収書の発行は基本的に行なわれていない。
なぜなら売買契約書が領収書の代わりになるからである。他方で個人売買の場合なのだが、後のトラブルを防止する意味でも領収書は発行した方がいいだろう。
できれば売買契約書も作成しておくといい。個人売買ではトラブルが頻発しているので、こうした点で手を抜かないことが重要である。