車下取りの価格相場とは、車を下取り(ディーラーを利用して新しい車を買い、なおかつ今まで乗っていた古い車を売ること)する時の売却価格の相場のことを意味する。
今回はこの価格相場をわずか5秒、そして匿名で調べられる裏技に近い方法を紹介する。
実際には車下取りの価格相場は軽視されるケースが多く、よく考えずに車を下取りに出して新しい車を買う人も珍しくない。というのも、大抵の人は下取りを利用する時に古い車の売却価格よりも新しい車の購入価格の方を気にするからだ。
確かに新しい車をお得に買うことができれば、多少古い車を安く売ったとしても気にならないかもしれない。しかし、車下取りを注意深く検討すると、
- 業者が提示する売却価格は適正であるのか
- 車下取りの価格相場を簡単に知る方法はないのか
- 売却価格を高くすることはできないのか
このような疑問が出てくるものだ。それらの疑問を解決するには車の下取り価格相場について正しい知識を身につけなければならない。十分な知識があれば安易に下取りを利用して損をすることもないだろう。
愛車の”正確な”価格相場を知る方法 | |||
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方法 | 精度 | 手間・時間 | 高価買取 |
ディーラー下取り | × | 〇 | × |
個人売買 | × | × | 〇 |
車一括査定 | 〇 | 〇 | 〇 |
車のディーラー下取りの『価格相場』とは?
車の下取り価格相場を調べる時の注意点だが、「車買取の査定相場に存在する3つの価格帯【業界の実態を徹底調査】」で解説している通り、車の価格相場は主に以下3つに分類される。
- 買取相場
- 下取り相場
- オークション相場
当然調べるのは「下取り相場」で、他の「買取相場」や「オークション相場」を調べても意味がない。
これらを混同すると事前に調べた相場情報と実際の査定金額が大きく異なることもあるので、間違えないようにすることが重要だ。
また相場を調べる時はできるだけ自分が売ろうとしている車両と条件が同じ下取り相場を見つける必要がある。というのも、車両の条件が違えば当然相場も変わってくるからだ。
たとえば車種、年式、グレードが同じ車両の相場があれば、かなり有力な参考情報となる。それでは実際に車の下取り価格相場をわずか5秒で調べる方法を教えよう。
車の下取り価格相場をわずか5秒で簡単に知る方法
車の下取り価格相場を5秒で知る方法とは、インターネットで提供されている相場情報をチェックすることである。
たとえばトヨタや日産といった自動車メーカーの公式HPでは下取り参考価格情報を公開している。
どちらもシミュレーション形式になっており、必要な車両情報を選択することで、それに応じた相場を表示させられる仕組みだ。ただ、下取り相場の精度が低いのがネックだ。
自動車メーカーの公式HP以外では、さらに精度を上げて価格相場がわかる「車一括査定」というサービスだ。
相場をしっかり調べたければこれら3つのサービスをすべて利用して比較してみると良いだろう。では、それぞれ具体的な方法を精度別に解説していく。
【精度低】個人情報なしで下取り相場を5秒で調べる方法
トヨタの下取り参考価格情報(シミュレーション)
トヨタの下取り参考価格情報は個人情報を入力しなくても利用できるメリットがある。ページに飛ぶとメーカー、車名、年式の選択欄が出てくるので、それぞれの項目で自分が下取りに出す車の情報を選択すれば良い。
3つすべて選択したらHP下部の「同意の上利用する」を押せば次の段階に進める。
次はボディタイプ・モデルを選択する段階だ。前の段階でメーカー、車名、年式の選択を行ったことから、それに応じたボディタイプ・モデルが一覧で表示されている。その中から下取りに出す車に合うものを選べば良い。
その次はグレード・仕様を選択する段階だ。事前に選択したメーカー、車名、年式、それからボディタイプ・モデルに応じたグレード・仕様の車両情報が並んでいるので、前の段階と同様にその中から下取りに出す車に合うものを選べば良い。
これら3段階の選択が済めば、いよいよシミュレーション結果がページに表示される。この下取り参考価格を見てディーラーに売却する時に役立てよう。
ちなみにこの下取り参考価格情報はトヨタが用意したものだが、トヨタ以外の車種でも問題なくシミュレーションを行うことができる。
日産の下取り参考価格情報(シミュレーション)
日産の下取り参考価格情報も個人情報を入力せずに利用できる。利用の仕方だが、まず公式HPの「今すぐ下取り参考価格をシミュレーションする」を押し、ページに飛ぶ。そこから4段階の項目を選択すればシミュレーション結果が表示される。
最初の段階ではメーカー選択を求められる。日産やトヨタ、ホンダなど全9種類の自動車メーカーがボタンで表示されているので、下取りに出す車に合うものを押す。
次の段階では車種選択を求められる。最初に選択したメーカーが取り扱っている車種が一覧で並んでいるので、その中から正しいものを押せばOKだ。表示車種は「あ~わ」の頭文字から絞りこむこともできる。
その次の段階では年式選択を求められる。車種選択と同様、一覧で並んでいる年式の中から正しいものを押せば良い。
最後の段階ではグレード・詳細仕様の選択を求められる。グレードや型式、駆動方式、ミッションなど、幅広い項目が出てくるので、それらに合うものを選択しよう。該当しない項目がある場合はグレードが正しいものを選べばOKだ。
シミュレーション結果では「何~何万円」といったふうに下取り参考価格が表示される。指定したメーカーや車種、年式、グレード・仕様をクリックすればその項目を選択し直すことができる。
【精度高】車一括査定を使って”本当の価格相場”を調べる
本当の愛車の価格相場を調べたければ、車一括査定サービスを利用すると良い。豊富なデータを取り揃えているので、精度が高い相場を調べられるメリットがある。
一括査定は複数の業者へ同時に査定を依頼できるサービスで、業者の査定士が直接車の状態を見て査定金額を決めるので、インターネット上の情報よりもはるかに信用できる。
また一社だけではなく複数の業者が出した査定金額を比較できる分、それぞれの金額の平均値を出すことでよりはっきりとした相場がわかるはずだ。
車の下取り相場はあくまで参考値
トヨタの下取り参考価格情報(シミュレーション)や日産の下取り参考価格情報(シミュレーション)など、車の下取り相場を調べる方法はさまざまなものがあるが、実はこれらはどれも参考値でしかなく、当てにすることはできない。
もちろん参考程度に捉えるなら、車の下取り相場は車を売る時に役立つ情報ではあるものの、それだけを見て実際の下取り価格を分かった気でいるのは危険である。
自動車メーカの下取り価格相場はあくまでシミュレーション
自動車メーカの下取り価格相場の公式HPを見ればわかることだが、「表示価格はあくまでも参考価格」という注意書きがあるように、シミュレーションで本当の価格を出すことはできない。
もちろんシミュレーションでその価格が出たからといって実際に下取りに車を出す時に相手の業者がその価格を参考にしてくれるわけではなく、ケースによっては事前に調べた相場と実際の下取り価格が大きく離れることもある。
事前に調べた相場と実際の下取り価格に大きな差がある場合、下取りに出す側としては無意味に価格に振り回される形になってしまう。
特に事前の相場が高く、実際の下取り価格が低いと、悪い意味で期待が裏切られるので、良いことがない。
各社の結果が大幅に異なることがある
各自動車メーカのシミュレーションはそれぞれが独自に用意したシステムなので、当然利用するシミュレーションによって結果も異なってくる。そしてケースによっては大幅に異なることもありえる。
これはなぜかというと、自動車メーカによって下取り参考価格を算出するために使っているデータが異なるからだ。
使っているデータが大きく異なる車種でシミュレーションを行えば、下取り参考価格の差が大きくなるのも当然である。
特に流通量が少なく、データのとりにくい車種に関しては価格の信憑性が低くなる。自動車メーカによってはデータが少なすぎて参考価格自体を提示できないこともしばしばある。
その場合は参考価格を提示できる他の自動車メーカを探すか、シミュレーションは諦めて直接メーカ販売店に問い合わせるかして参考価格を調べるしかない。
他社メーカーや外車の査定が低くなる傾向がある
他社メーカや外車は査定価格が低くなりやすい。これは自社メーカの車と比べて他社メーカの車や外車の取引データが少ないことに起因する。
取引データが少ないと安易に高い価格をつけることができないため、査定価格が低めに見積もられて、下取り相場と実際の査定価格に差が出やすくなる。
そのため、下取り価格相場のシミュレーションをする時は、下取りに出したい車のメーカのHPを利用するのが良く、査定もその販売店で行うのが良い。
自社メーカの車であればデータが十分にあるので、下取り相場と実際の査定価格に差が出るリスクも抑えられる。
時期によって査定相場が変わる
査定相場は時間が経てばどんどん変動していく。中には長期間相場が動かない車種もあるが、変動が激しい車種であれば1週間単位で変わることも珍しくない。
相場の動きが激しい車種の下取り価格相場を調べる場合、たとえその時点での正確な相場が算出されたとしても、実際に査定した時にまったく違う価格が提示される可能性が高い。
というのも、下取り価格相場を調べてから実際に車を査定に出すまでの期間に相場が動いてしまうからである。
この問題を解決するには相場がわかった時にそのまま車を売るしかない。それには査定と同時に売却手続きに入れる買取店を利用するのが一番だ。
下取り相場の価格や相場表(目安)は存在しない
下取り相場を調べられるHPは色々とあるものの、実際に査定で提示される下取り価格は営業マンのサジ加減による。レッドブックなどの自動車価格情報誌を見て査定の参考にはするのだが、いざ査定額が決まってみると情報誌の価格表とは異なっていることが多いのが現状だ。
なぜこうなるかというと、車の下取りは車の購入とセットで行われるからである。ディーラーは車の下取り価格を決める時、純粋に中古車の価値に対して価格をつけるのではなく、新しい車の購入価格とのバランスを考慮して決定する傾向にある。
たとえば、新しい車の購入価格を大きく値引きした場合は車の下取り価格を低くしたりして調整するのだ。このような営業マンのサジ加減を事前に相場から予想できるはずもないので、そもそも「下取り相場は存在しない」と考えることもできる。
ただし、だからといって車を下取りした時に絶対に損をするわけではない。
たとえば、まずディーラーに「下取りに出すかどうかはわからないが、とりあえず新車価格の方を教えてほしい」と伝えておけば、新車価格の値引きを確定させることができる。
その後に下取り価格を低く見積もられなければお得に車の処分と入手ができる。
車を高く売るなら一括査定相場>買取相場>下取り価格相場
車を高く売りたければ車を下取りするよりも買取店を利用した方が良い。なぜかというと、下取り価格相場よりも買取相場の方が値が高くなるからだ。そして前述したが、買取相場よりも高い価格がつくのが一括査定相場である。
ディーラーではなく買取店であれば人気装備などを査定で高く評価してくれるため、車両によっては高額買取も可能となる。さらに複数の店舗に車を持っていけば、その中で一番高額の査定を出してくれたところに売ることもできる。
複数の店舗で査定を受けるのは大変だが、一括査定なら手間が緩和される。一括査定の利用の流れだが、
- HPで一括査定の申し込み
- 各買取店から営業電話
- 電話で査定日時と場所を決める
- 当日指定場所で査定を行い売却手続き
一社一社営業電話が来るのが面倒という場合は、申込み時にメール連絡を希望しておくことで営業電話の数を減らすこともできる。
ただし、買取店によっては査定の申し込みが入ったのと同時に自動で電話をかけるシステムを採用していることもあり、その場合は営業電話を避けることができないので注意が必要である。
一括査定を利用する時は、必ず査定時に他の買取店で提示された査定額を伝えるようにしよう。そうすれば買取店の競争心をあおり、普通の買取相場以上の査定額を引き出すこともできる。これこそが一括査定相場が最も高い理由である。
まとめ
車下取り価格相場はディーラーで車の買い替えをする時に参考になる相場情報である。この相場を簡単に知る方法だが、たとえばトヨタや日産など自動車メーカーの公式HPでは、シミュレーション形式で下取り参考価格情報を提供している。
ここではメーカや車名など車両情報を入力するだけで(個人情報は不要)、下取り参考価格が表示されるようになっている。
ただし、これらの下取り相場情報は実際の下取り価格と異なる可能性が高い。というのも、
- シミュレーションによる下取り価格情報はあくまでも参考価格
- メーカによって参考にしているデータが違う
- 流通量の少ない車両の価格を予想するのは難しい
- 相場は常に変動している
このような事情があるからだ。またそもそも下取り価格というのはディーラーの営業マンのサジ加減で決まる傾向が強いという大前提があるため、相場自体が存在しないという見方もある。
結局のところ車を高く売りたければ下取りではなく買取、また買取を利用する場合は一括査定で売るのが一番という話になる。一括査定なら査定してすぐに車を売れるので安心な上に、査定を受ける買取店同士を競合させることで、普通に買取店を利用する以上の査定額を引き出すことができるからだ。