だれでも自分の愛車は1円でも高く売りたいと思うものである。新車と違って中古車の場合、その車ごとに走行距離もエンジンの調子もメンテナンスのされ方も違うため、車種が同じだからと言って買取価格も一定というわけではない。
買取業者によっても査定額はかなり異なるし、同じ買取業者であっても車売却の時期や担当者によって査定額は変動するものだ。
このように査定額は一様ではないことを考えると、少しでも車を高く売るためには、買取業者との価格交渉をする必要があることを理解できるだろう。今回はその価格交渉について解説していこう。
本文では交渉前にやっておくべきこと、すぐ実践できる交渉術10項目を紹介しているが、先に交渉のコツをまとめておこう。
- 複数の業者のなかで最も高い査定額を出す買取業者を調べる
- 二番手、三番手の査定の安かった業者に買取額アップの交渉を試みる
これは複数の業者と交渉する場合のコツだ。
当然、一社のみによる交渉よりも複数の方がはるかに買取額が高くなる可能性がある。いくつもの買取業者に最高額を知らせて競い合わせるからだ。
買取業者は車を仕入れなければ儲けを作ることはできない。数多くある業者のなかから自社を選んでもらうため、前のめりに交渉してくる。
これによって最高額を出した業者はさらに金額を上乗せするしかなく、業者全体のなかで買取額の吊り上げが可能となるわけだ。
買取価格をアップさせる方法 | |||
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方法 | おすすめ度 | ||
一社の買取業者と交渉 | 交渉が難しくなる | ||
複数の買取業者を回って交渉 | 時間・労力がかかる | ||
車一括査定を利用 | 短時間で交渉の必要もない |
車を高く売るために交渉はやってみる価値がある
交渉の仕方によっては数万円~十数万円も買取価格が違ってくることもあるので、交渉はちょっと苦手という方もやってみるだけの価値はある。
最近では、個人的に買取業者を1件ずつまわって査定依頼や価格交渉をしなくても、「車一括査定サイト」というインターネット上でのサービスが普及してきた。
このサービスを利用する利点として、手間を省けるという点が一番に挙げられる。
おまけに、買取業者同士での価格競争によって、より高く車を買い取ってくれる業者を見つけやすいという利点もある。
買取業者もプロであることを忘れない
しかし、買取業者もプロなので、少しでも安く車を買い取るための術を熟知している。
そのため、車を売る側も情報を事前に仕入れたり、相手の出方や目的を知っておいたりすることによって、交渉を有利に進めることが可能になる。
このサイトでは交渉前にこれだけは知っておこう、やっておこうという事、専門的な知識がなくても買取業者と対等に渡り合うために実践すると良い交渉術、価格交渉をするために押さえておきたいポイントをご紹介しよう。
必ず車売却の交渉前に知るべきこと・やるべきこと
自分の愛車を高く売るために、まず絶対に外せないことは、査定に出そうとしている車の相場を知るということだ。相場を知らなければ安く買いたたかれてしまう可能性もある。
おおよその相場を知っていてこそ、交渉に臨むことができるのだ。また買取業者側との折り合いを付けるためには、最低でもこの値段なら売ろうというラインを自分の中で決めておくことも大切である。
そうすれば、交渉を不用意に長引かせることなくスムーズに進めることができるだろう。やるべきこととして、複数の業者に競合させることは重要だ。
今から査定にかける車の「相場」を知る
今から売ろうとしている車のおおよその相場を知るということは、車を高く売るための絶対条件である。買取業者に、ただ一方的に自分の希望価格を突き付けても、その価格で買い取ってもらえる可能性は非常に低い。
あまり人気のない車種であったり、車の状態が思った以上に悪かったりすれば、当然買取価格は低くなる。車ごとに状態は様々であるが、適正価格を事前に調査しておくならば、見当違いの価格を希望してがっかりすることもないだろう。
高すぎる価格を希望したり、安すぎる価格で手放してしまったりすることも避けられる。
あまりに粘り過ぎると、買取業者側が敬遠して交渉不成立になる場合もあるし、それほど人気車種ではなければ案外あっさり逃げられてしまうこともある。
それで自分の中でこの最低でもこの金額であれば、売却するというラインを決めておけば、不必要に交渉を長引かせて後味の悪い想いをしなくてすむだろう。
このように後述する交渉術を実践する前に、愛車の現時点での相場を把握しておくことはとても重要な点である。
1社ではなく複数の買取業者を競合させる
少しでも車を高く売るためのコツは、1社ではなく複数業者の間で価格競争をさせることである。競争の原理が働くと、価格はつり上がっていくものである。
1社だけの場合、他の業者との比較ができないため、その業者の「いい値」で買い取られてしまうことになりかねない。
高額査定を引き出すためにはやはり、売る側も複数の買取業者に査定を依頼し、一番高値を付けてくれた業者を基準に、さらに高く買い取ってくれる業者を見つけるという交渉術が必要になってくるであろう。
それで、少なくとも3社~5社の買取業者に査定をしてもらうことをおすすめする。
出張査定を利用する
買取業者に査定を依頼すると、無料で「出張査定」をしてくれるところがほとんどである。
もちろん自分で愛車を店舗に持ち込んで査定するという方法もあるが、出張査定ならば指定した日時に自宅まで査定士が来てくれるので、忙しくて時間がないという方にも助かるサービスである。
出張査定の大まかな流れは、まず電話やインターネット上で出張査定の依頼をし、日程予約を行なう。査定当日は、車検証などの書類を確認した後、20分~30分で車の状態のチェックを行う。
その後、査定額を提示するという流れである。全体でも1時間程度で正確な査定額を知ることができる。
絶対ではないが洗車・車内清掃でキレイな状態にする
車を査定してもらう前にやっておくとよいのは、洗車と車内清掃である。実のところ、洗車などですぐにキレイになるような汚れは、査定価格には全くと言って良いほど影響がないとも言われており、洗車をする必要はないという意見もある。
それで洗車、車内清掃は絶対条件ではないのだが、車をキレイな状態にしてから査定に出すことにはメリットもある。車を大切に扱ってきたことが伝わると、相手に好印象を与えることができる。
また車内がよく整理整頓されていると、今すぐにでも売りたいという意思表示をすることにもなるため、買取額がアップし結果的に車を高く売ることにつながるかもしれない。
自動車売却ですぐに実践できる価格交渉術一覧
ここでは車を高く売るために、専門知識がなくてもすぐに実践できる10の交渉術をご紹介する。
以上が10の方法である。順にご紹介しよう。
1.隠してもバレる:事故歴・修復歴で嘘をつかない
少しでも車を高く売るために、事故歴や修復歴を偽る人がいるが、それは決してしてはならない。なぜならば、それは査定に悪影響を与えるからだ。
買取業はこれまでに数えきれないほどの車を査定してきたことだろう。プロの目線で見れば、修理した箇所など簡単に発見できてしまうのだ。隠しても全く意味がない。
むしろこの人は嘘をつくから信用できないと思われ与える印象がかなり悪くなることだろう。
後述の交渉術として紹介している方法で、愛車への思いを伝える、本気度を伝えるなどというものがあるが、1つ嘘をつくとすべてを疑われてしまうので、他がいくら真実であっても信じてもらえなくなるだろう。
2.相場より上乗せして相手の出方を見る
買取業者側は、相場として一般的な査定額より低い金額を示すことが多い。一般に提示できる買い取り価格よりも数万~数十万円低く見積もるのが普通である。
相手が買取価格の下のラインから攻めてくるのであれば、こちらは上のラインから攻めてみると良い。そこで実践してほしいのが、前もって仕入れた情報をもとに、相場より上乗せした金額を希望価格として提示するという交渉術である。
そのあたりの見極めを行なうためには、こちらから鎌をかけてみて相手の出方を見ることがどうしても必要である。
ただし、あまりに非現実的な価格を言うと良い印象は与えないので、あくまでも相場を踏まえたうえでの交渉術であることを覚えておくと良いだろう。
車を高く売ることを望むのであれば、このあたりの交渉を上手に行なうことがカギとなる。
3.他の買取業者にも査定依頼していることを伝える
複数の買取業者に査定を依頼していることを伝えるというのも車を高く売るための交渉術の1つだ。裏ワザとして、相場に少し上乗せした金額を伝えるというのがミソである。
買取業者としては、いくらたくさん車の査定を行なっても、実際に買い取ることができなければ利益はゼロ。なんとしても他社との競争に勝ってあなたの車を買い取りたいと思っている。
それで多少の値段交渉には応じてくれることだろう。交渉の流れとしては、すでに交渉するのは2社目だと伝えて、今までに入手した情報をもとに、最低提示額に上乗せした金額を希望価格として伝えることができる。
最近では車を高く売るために、一括査定サイトなどを利用するのが当たり前になっているので、他の業者とも交渉していることを伝えたところで相手が気を悪くするなどということはないのでご安心を。
4.プラス材料になるものを積極的に伝える
車を高く売るために、愛車の良い点を積極的にアピールすることも交渉術として欠かせない点である。例えば、純正のオプション品が付いているということをアピールできる。
他にもタイヤを新品に交換したばかりであること、スピーカーは高品質のものを搭載していることなど、装備面でのアピールポイントがある。
さらに、オイルを定期的に交換してきたこと、ディーラーの記録簿があること、整備点検の記録をあることなど、メンテナンス面でのアピールポイントもある。
このように車を大切に扱ってきたことが伝わるようなプラス材料になるものを積極的に伝えると良い。
5.希望価格は教えない
買取業者から「希望価格はおいくらですか。」と尋ねられたとしても、こちらからは希望価格を言わない方が賢明だろう。純粋に愛車の査定額を聞きたいのであれば、具体的な金額を提示しないことが交渉術の大切なポイントとなる。
自分の愛車の相場を知らない状態で希望価格を提示してしまうと、安く買いたたかれてしまう可能性もあるし、車を高く売ることのできるチャンスを逃してしまうことにもなる。
自分の中で希望最低価格を決めておくことは必要であるが、先に手の内を見せてしまうと交渉を有利に進めることができなくなるため、注意が必要だ。
6.絶対に即決しない・売り文句に騙されない
査定を受けた後、絶対にしてはいけないことの1つは、その場で即決することである。
買取業者側としても、いくら査定しても自社で買い取らなければ売り上げにはならないので、最後の一押しとして、「いまこの場で売ってくだされば、○万円上乗せします。」などと言ってくることもあるだろう。
でもそのような売り文句に騙されないということが車を高く売るためのポイントである。他社との比較する猶予を与えないというのが相手の目的なので、即決を後押しするようなことを言われても、上手い営業トークにのせられないように気を付けよう。
7.自分の本気度を伝える
買取業者もプロなので、そもそも売る気はないがいくらで自分の愛車が売れるのか知りたいという程度の興味本位で査定を依頼したという場合、それはすぐに見抜かれてしまうだろう。
しかし本当にこちらが売りたいという気持ちを持っていて、真剣に交渉に臨む姿勢を見せるなら、相手もその気持ちに真摯に向き合ってくれるはずである。
もし契約条件がうまく折り合えば、すぐにでも売りたいという意思表示をすると、高額査定を引き出せる場合がある。
たとえ売る気はあっても今すぐには売れないというのであれば、走行距離の増加や事故の可能性といった要素も加味して、査定額は低めになることを覚えておくと良いだろう。
8.愛車への想いを伝える
車を高く売るために、査定依頼した車を自分がいかに大切にしてきたかを伝えるのも良い交渉術といえる。
なぜならば買取業者も人間なので、雑に扱われきた車より、よくメンテナンスされてきた車の方を、より高く買い取りたいと思うはずである。
頻繁に洗車をしてきたことやワックスがけをしてきたなど、たとえ些細なことであっても、愛車に対する思い入れは十分に伝わることだろう。
9.今後の付き合いも含めて交渉する
高額査定を引き出すためには、今回限りではなく今度もお付き合いを続けたいという姿勢を示すのも良い交渉術である。
例えば、「また車を売りたいと思ったときは利用させていただきます。」とか、「もし親戚や友人で車を売りたい人がいたら、こちらを紹介させていただきます。」などというように、固定客となる可能性を示すとよい。
また車検や修理なども行なっている買取業者であれば、そのサービスを利用したい旨を伝えることができる。そうすれば、それを見込んで相手も少し上乗せしてくれるかもしれず、結果的に車を高く売ることができるかもしれない。
10.提示された査定額を他店に見せるのもアリ
最近は少しでも車を高く売るために、一括査定などを利用するのが一般的になっている。そのため、他の買取業者とも交渉をしていることを伝えることは決してマイナスイメージにはならない。
むしろ他にも競争相手がいることを知って、業者側も他店にお客を取られないために頑張ってくれることもある。もし他社から具体的な査定額を提示されているなら、それを交渉の道具として使うこともアリだ。
もちろん、1社目に出た査定額を2社目の査定額が出る前に見せてしまっては意味がない。あくまでも2社目の査定額が出てからというタイミングが重要だ。
2社目の提示金額によっては、1社目の提示額を利用して、これより高く買い取ってくれるなら売るという旨を伝えればよい。
複数の買取業者の場合は価格交渉をするのは最後
複数の買取業への査定を依頼した場合、1社ずつ価格交渉することは時間と労力の無駄になりかねない。
1社査定を終えるごとに価格交渉していたら、あとでもっと良い査定価格が出た場合に、今までの交渉が水の泡になってしまうだろう。
多くの人にとって交渉というのはエネルギーを要するものである。一番効率よく車を高く売るために大切なのは、すべての業者の査定が終了してから最後に価格交渉を行なうことである。
数社依頼した中で最も査定額が高かった業者を例に出して交渉すれば、一度は低い査定価格を提示した業者であっても、自社に売ってくれるならと買取価格をアップしてくれるかもしれない。では具体的な例を見ていこう。
最も査定が高い価格を比較にこれ以上高くならないか交渉
例えば1社目の査定で20万円と言われ、交渉して25万円に買取価格が上がったとしよう。
もし2社目で23万円と言われ、1社目で25万円と言われたからもう少し高くできないかと交渉して、28万円になったとしても、3社目でいきなり30万円という価格が出たとしたら、それまでの交渉は全く無駄になってしまう。
それで賢く車を高く売るための交渉術として、価格交渉は最後に!というのが鉄則である。
では数社の査定が終わったら、どのように価格交渉を進めればよいだろうか。まずは一番高い金額を提示してくれた買取業者を基準にしよう。
価格交渉は電話で簡単にできるため、その価格より低い価格を提示した買取業者にもっと買取額をアップしてくれないかと交渉してみる。
そして最も高くなった買取業者と最初の買取業者を価格競争させて、より高い金額を提示してくれた業者に車を売却すればよい。
ただし、あまりに交渉を長引かせたり無理を言ったりすると、買い取ってくれない場合もあるので、引き際をきちんと見極めて交渉を妥当な範囲にとどめるように注意することが必要である。
手早く買取業者を競合させるなら”車一括査定がおすすめ”
少しでも車を高く売るためには、複数の買取業者で競合させることが重要だ。価格競争の原理が働くような状況を作り出せば、自然と買取価格はアップしていくことだろう。
しかし、自分の愛車を何件もの店舗に持ち込んで査定してもらうには、かなりの労力が必要となる。さらにそこから価格交渉を行なっていくのはストレスにもなるだろう。
そのため、手早く競合させたいのであれば、一括査定の利用をおすすめする。
まとめ
ここまでで車を高く売るために、今すぐ実践できる交渉術について説明してきた。交渉次第で数十万円も買取価格に差が出るという現実を知ると、大切な愛車を少しでも高値で買い取ってもらいたいと思うものである。
交渉に入る前に必ずやっておくべきこととして、査定に出す車の相場を把握しておくことを忘れないようにしていただきたい。相場を知って初めて価格交渉がスタートするのだ。
また高値買取を狙うのであれば、粘りどころを見極めることも大切である。引き際をきちんと見定めてから、その範囲内で駆け引きを行なうことが必要だ。
あまりに無理難題を言うと、買取業者に逃げられてしまうこともある。相手も商売なので全く利益が上がらない商売はしないだろう。こちらもその点を理解して、気持ちの良い交渉ができるように心がけると良い。
車の売却を考えている方は、ここでご紹介した交渉術を是非試してみてほしい。
買取業者はあの手この手で愛車を安く買い取ろうとしてくるので、これらの交渉術を駆使すれば必ずや満足のゆく結果を得ることができるだろう。