車を売る際、さまざまな方法がとられるものだが、ディーラーの下取りや買取専門店の買取の他にも「委託販売」で売る方法がある。
中古車の委託販売とは業者に自分の車を買いたいと思う人を代わりに探してもらえるサービスのことだ。
- タイプ1:売りたい車を代行業者に預けた後、その業者の店頭や公式サイトで車が展示販売
- タイプ2:売りたい車の写真のみを展示(売り手が見つかるまで車に乗ることも可)
車売却後、手数料を引いて残った額が自分の手元に入るという流れだ。
中古車委託販売 | |||
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メリット | デメリット | ||
買取査定よりも高く売れる場合がある | 委託販売を行っている店舗は少ない | ||
代わりに買い手を探してくれるので気軽 | いつ売れるかわからない | ||
販売店から頻繁に値下げ交渉の連絡が来る | |||
車を保管する料金をとられる | |||
車を預けている期間は車が手元にない |
正直、メリットよりデメリットの方が多いのが委託販売だ。確実により高く売却するには以下のポイントを知っておくことが大切である。
車を高く売るおすすめの方法はコレ | |||
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方法 | 手続き | トラブル | 高価買取 |
ディーラー下取り | 〇 | 〇 | × |
個人売買 | × | × | △ |
委託販売・ネットオークション | × | × | △ |
中古車買取店(持ち込み) | 〇 | 〇 | △ |
車一括査定 | 〇 | 〇 | 〇 |
自動車の委託販売でかかる手数料
委託販売は無料サービスではなく、いくつかの手数料がかかるようになっている。
一番多いのは「委託販売手数料」と「車の保管・展示料」の2つの手数料がかかってくるケースだ。
そのため、委託販売を利用する際はこの2つがどのような手数料なのか把握しておく必要があるだろう。
委託販売手数料
委託販売手数料というのは代行業者に預けた車が売れた時に支払わなければならない手数料である。そのため、手数料というよりも「成功報酬」に近いものとなる。
委託販売手数料の金額は代行業者の設定次第なので、利用する業者の公式サイトなどを見て確認することが大切だ。
たとえば「Honda Cars 埼玉南」の委託販売の場合、委託販売手数料は車両価格が100万円未満か、100万円以上200万円未満か、200万円以上かで違ってくる。
車両価格が100万円未満なら54,000円、車両価格が100万円以上200万円未満なら車両価格の5%+消費税、車両価格が200万円以上なら108,000円の委託販売手数料がかかる。
車の保管・展示料
車の保管・展示料は売りたい車を代行業者が預かっている時にかかるコストを支払うためのものである。
当然車がなかなか売れない場合はそれだけ維持費もかかるので、車の保管・展示料も高くなっていく。車の保管・展示料についても委託販売手数料と同様、代行業者の設定次第で金額が変わってくる。
中には一定期間であれば無料に設定している代行業者も存在するので、どうしても車の保管・展示料を支払いたくなければそういった業者を探すのもいいだろう。
「Honda Cars 埼玉南」の委託販売ではどうかというと、1ヶ月間は車の保管・展示料がかからないシステムになっている。
また1ヶ月を過ぎた後も委託を続けるかどうかの相談をするだけで、車の保管・展示料が請求されることはない。
自動車の委託販売を利用するメリット
中古車の委託販売にはいくつかのメリットがある。たとえば「買取査定よりも高く売れる場合がある」ことや「代わりに買い手を探してくれる」ことなどがあげられる。
これらのメリットは車を売りたい人によっては非常に魅力的に映る可能性もあるだろう。
メリットを十分に生かすことができれば、ディーラーの下取りや買取専門店の買取など、他の中古車の売却方法と比べてより満足度を高くすることもできる。
【メリット1】買取査定よりも高く売れる場合がある
ディーラーの下取りや買取専門店での買取では、カーオークションの取引データを参考に車の査定金額を決める特徴がある。
なぜそうするかというと、カーオークションの取引データは車の流通やそれに応じた相場を最も的確に示すものだからだ。
しかし、カーオークションの取引データを参考にする場合、相場がしっかり決まっている分、その相場以上の査定金額はほとんど望めない。
それに対して中古車の委託販売は代行業者が車を買うわけでなく、あくまでも買い手と売り手をマッチングするだけのサービスなので、売却金額が相場以上になる可能性もある。
提示する車両の価格は自由に決められるし、買い手さえその価格に納得すれば取引は成立するのだ。
【メリット2】代わりに買い手を探してくれる
買い手を探すこと自体は一般の人でもできないわけではない。しかし、一発で交渉が成立するとは限らず、ほとんどの場合は何人、何十人との相手と交渉し、ようやく買い手を見つけることができる。
そういった手間や時間をかけられる余裕のある人は現実的にはなかなかいないだろう。
委託販売の大きなメリットは代わりに業者が買い手を探してくれることで車の所有者は売るための手間や時間を省けることだ。
車の所有者は代行業者が買い手を探している間にゆっくりと仕事やプライベートなど自分のために時間を使うことができる。
自動車を委託販売するデメリット
委託販売のメリットは上記の通りだが、実はデメリットも存在する。しかも委託販売のデメリットはメリットよりも数が多い。
そのため、委託販売はメリットを見て利用を決めるよりもデメリットを見て利用を決めた方がいいだろう。
メリットだけを見て利用してしまうと、思わぬデメリットの多さに辟易させられることになる可能性があるからだ。
たとえば委託販売には、
以上のようなデメリットがある。
【デメリット1】委託販売を行っている店舗は少ない
委託販売を行っている代行業者は通常中古車の販売店・買取店となる。しかし、それらの販売店・買取店のすべてが委託販売サービスを提供しているとは限らない。
むしろ委託販売を行っている中古車の販売店・買取店は非常に少ないくらいだ。そのため、委託販売を利用しようと思ってもまず店が見つからないという問題が発生する。
近くに委託販売を受け付けている店があればいいが、遠隔地にしかない場合はどうしても利用が難しくなる。
また近くに店があったとしても確実に利用できるとは限らず、店の方から依頼を断るケースもある。
このデメリットを回避するには大手の販売店・買取店を利用するのが一番だが、たとえば「カーリンク」という業者は委託販売を受け付けている代表的な大手販売店、買取店である。
【デメリット2】販売までの期間が長く、いつ売れるかわからない
委託販売で中古車が売れるには「その値段で買いたい」という買い手が現れなければならず、販売までの期間が長くなりやすくなる。
提示している車両の価格が相場よりも高ければわざわざそれを買おうと思う人はなかなか現れないし、かといって相場通りの価格だったとしても買い手が必ず現れるとは限らないのだ。
もちろん相場よりも低い価格を提示すればすぐに買い手が見つかる可能性が高いが、それでは高く売ることができず、そもそも委託販売を利用する意味がなくなってしまう。
販売までの期間が長いとその間に車の価値が下がっていく恐れもある。委託販売で一定期間売れない場合は代行業者が買い取るというシステムもあるが、安く買い叩かれることがあるので、リスクが高い。
【デメリット3】販売店から頻繁に値下げ交渉の連絡が来る
委託販売で売りたい車を業者が展示している時にその車に興味を持った人が現れた場合、値引き交渉をしてくることがある。
いきなり提示価格で購入するよりも値引き交渉した方が安く買える可能性があるので、自動車の売買では当然のことといえる。
しかし、業者は販売の委託を受けているだけなので、勝手に車の値引き交渉に応じることはできない。そのため、値引き交渉があった場合は業者が売り手に連絡してどのように対応するかを尋ねてくる。
当然値下げ交渉が多ければ多いほど販売店から連絡が来る頻度は増す。人によってはその連絡にいちいち対応するのに辟易させられることもあるだろう。
【デメリット4】車を保管する料金をとられる
車を保管する料金をとられることも委託販売のデメリットのひとつだが、もちろんこれは車の保管・展示料のことである。
車が売れない場合、成功報酬である販売手数料の方は支払わなくて済むものの、車の保管は常に業者が行っているので、売れようが売れまいが保管料金はかかる点に注意が必要だ。
車を保管する料金をとられたくなければ車の保管を行わない代行業者に委託販売を任せるといいだろう。
しかし、その場合は自分で厳重に売りたい車を保管しておく必要がある。
【デメリット5】車を預けている期間は車が手元にない
車を預けるということはその期間は車に乗れないということであり、代わりの車や交通機関を利用しなければならないということである。
そうなると人によっては仕事やプライベートなどの日常生活を狂わされることになる。
そのため、代行業者に車を預ける前に代わりの移動手段を考えておく必要がある。
また車を預ける代行業者は信用できるところでなくてはならない。なぜなら車を預けている間、代行業者はその車を自由に扱うことができるからだ。
車両の委託販売をお願いしていたのですが、店舗の責任者がいなくなりました。お金は受け取っていません。この場合お金は取り返せるのでしょうか?
弁護士ドットコム「車両委託販売のトラブルについて」[/inoyou]
このように最悪の場合、持ち逃げされるリスクもあるし、雑に扱われることで車体に傷がついたりすることもありえない話ではない。
中古車の委託販売のトラブル事例
中古車の委託販売ではさまざまなトラブル事例が報告されている。もちろんこれらのトラブルが必ず起こるとは限らない。
しかし、中古車の委託販売はそのサービスの性質上、利用者が騙されやすい傾向があることも確実だ。トラブルは当然回避に努めるべきだが、どれだけ気をつけてもどうしようもないこともある。
そのため、何かおかしいと感じた時はすぐに委託販売を任せている代行業者に問い合わせることが重要だし、万が一の時は警察に相談するべきだろう。
【事例1】販売金額をごまかして高めの販売手数料を取ろうとする
車の販売金額は売り手にとって非常に大切な要素だ。というのも、車の販売金額から手数料を引いた額が売り手の取り分になるだけに、元の販売金額は高ければ高いほどいいからだ。
しかし、売り手は実際に車の売買交渉の現場に参加するわけではないので、販売金額がいくらかを確実に知ることはできない。
もちろん売買交渉は代行業者が売り手に連絡をすることで行われるし、それによって情報伝達がなされるわけなのだが、その際に代行業者が本当のことを言っているのかはわからないのである。
つまり、代行業者が販売金額を実際よりも低く売り手に伝え、高めの販売手数料を取ろうとすることも可能なわけだ。
この場合、売り手は不当に取り分を少なくさせられてしまう。また代行業者によっては繰り返し出品を行い、そのたびに手数料を請求するという手口を行っているところもある。
普通中古車の委託販売では何度も出品するということはないので、気をつけるようにしよう。
【事例2】売れているのに、売れていないと虚偽の報告をされた
販売金額ではなく売買自体をごまかされるトラブル事例もある。委託販売を利用してからずいぶん経つのにもかかわらず、代行業者に連絡しても「まだ売れていない」と言われる場合は注意が必要だ。
中には外出した時に見かけた車が委託販売に出した車とそっくりだったというケースもある。もちろんその車が売れたとは本人は聞いていない。
運転手に聞いてみたところ、委託販売を利用した代行業者から買ったことがわかり、虚偽が発覚したという流れだ。
このトラブル事例は販売金額をごまかすよりもタチが悪いといえるだろう。なぜなら手数料を引くどころか販売金額を代行業者がまるまるせしめているわけなのだから。
【事例3】知人に委託販売をお願いしたら連絡がつかなくなった
知人というのは親しい代行業者のことである。どうせ代行業者を利用するのだから顔見知りの方がいいだろうということで依頼するに至ったケースだ。
しかし、依頼後最初はカーオークションに出品していたものの、気づくといつの間にかヤフオクに出品されていたというトラブルが起こった。
しかもそこで売れた後、代金が売り手に支払われることはなく、電話をしても繋がらず音信不通に…。こういったケースは何も元から悪質な業者に限ったものではない。
委託販売を行う代行業者は経営難に陥っているところも多く、切羽詰まってお金を持ち逃げすることもあるのだ。
この場合、警察に通報して捕まえてもらったとしてもすでにお金を使っていて被害者に帰ってこないことも多い。
ハイリスク・ノーリターンの委託販売!利用するのは勧めない!
上記のデメリットを考慮すると中古車の委託販売はハイリスク・ノーリターンのサービスといっても過言ではない。
なぜそうなるかというと、一番の理由は委託販売を行っている代行業者は車を売るノウハウを多く持っていない点にある。
ノウハウを多く持っていないからこそ自社ルートで売ることをせず、委託販売で個人の依頼を受けているわけだ。
ノウハウを多く持っていない業者に車の販売を丸投げすれば、ケースによってはトラブルが起こるのもある意味当然のことともいえる。
そのため、利用は勧めないが、もしどうしても委託販売で車を売りたければ業者の動向を常に監視するつもりでいた方がいいだろう。
放置されているよりも監視されている方がサービスに手を抜きづらくなるものである。自分の方から定期的に連絡するくらいでちょうどいい。
高価買取を希望するなら安心の買取専門店にお願いするのが一番!
車を売る時は委託販売ではなく買取専門店に依頼するのが一番いい。買取業者を使うにあたってポイントになるのが、複数の買取店に競合させることだ。
買取業者は車を仕入れなければ儲けを作ることはできない。数多くある業者のなかから自社を選んでもらうため、前のめりに交渉してくる。
最高額を出した業者はさらに金額を上乗せするしかなく、業者全体のなかで買取額の吊り上げが可能となるわけだ。
ただ、自分で1店1店買取業者を回って査定を依頼するのは、たいへんな手間と労力が必要だ。そこで役に立ってくれるのが「一括査定」というサービスだ。
一括査定は手続きスムーズ、トラブルなし、高額買取の期待値、どれをとっても他の方法よりも勝っている。
まとめ
中古車の委託販売とは、代行業者に自分の車を代わりに販売してもらえるサービスのことである。代行業者に車を預け、その業者の店頭や公式サイトで展示されることで、車の買い手を探せる。
車が売れれば売却代金を受け取れるが、販売手数料、車の保管・展示料といった手数料がかかることも忘れてはならない。
委託販売には高価買取が目指せる可能性があること、売り手が時間や手間をかけずに車を売れることといったメリットがあるが、それ以上に多くのデメリットがあるので、必ず利用する時はデメリットの方を意識しておく必要がある。
また単なるデメリットだけでなく、販売金額をごまかしたり、虚偽の報告をされたり、いきなり音信不通になったりと、業者によっては悪質なトラブルに見舞われる可能性があることも確認しておこう。
結局のところ中古車の委託販売はハイリスク・ノーリターン…利用するなら買取専門店の方をおすすめする。買取専門店は安心して売れるだけでなく、高価買取も十分に見込める業者だ。
特に一括査定サービスで複数の買取専門店に依頼すれば買取専門店同士で査定金額を競い合ってくれるので、売り手は納得いく査定金額を提示されるまで待っていればいい。