車を売る際には複数の業者を競合させることで高額で車を売ることができる。だが、複数の業者を交渉をしていると、つい1社以外の業者と契約を交わしてしまう人もいる。それが車査定で起こりがちな二重契約である。
車を引き渡したわけではないから、キャンセルできるはずだと思っていると思わぬトラブルに巻き込まれる恐れがある。
ここでは二重契約によるトラブルと、買取店ごとの車買取契約後のキャンセル規定についてまとめているので参考にしてもらいたい。
車買取における”二重契約”の定義とは?契約書のサインが重要
車買取で起こりうるのが二重契約だ。二重契約とはその名の通り、1社以上の買取店と売買契約を交わしてしまうことである。
もちろん双方に車を売却することは不可能なのだから、どちらかはキャンセルという形になるのだ。ただ契約といっても、以下のようなケースが考えられる。
ケース① | 貴社に売ります、と口約束を交わした |
ケース② | 契約書にサインしたが、車はまだ引き渡していない |
ケース③ | 契約書も交わし、車も引き渡した |
ケース④ | 契約書を交わし車も引き渡し、買取額も受け取った |
全ての取引が完了して契約終了と考える人もいるようだが、実際は契約書にサインをした時点で契約完了となるのだ。
車買取のキャンセルは基本的に不可!横領罪に問われる
どのような状況でも契約書にサインをした時点で契約は締結されたことになる。たとえ車はまだ自分のところにあったとしても、所有権は買取店に移行したことになるのだ。
そのため、買取店が応じない限り基本的にキャンセルは不可となる。
もし契約書にサインをした後、他の買取店の契約書にもサインをすると、それは買取店の持ち物を勝手に売却したということになる。
それにより横領罪に問われる可能性があるのだ。実際に訴えられれば勝ち目はないのだから簡単に契約しないようにすべきだ。
大手車買取業者9社のキャンセル対応一覧【比較表】
買取業者名 | キャンセル規定 | 違約金 |
---|---|---|
アップル | 店舗によって異なる | 7日間以内なら無料店舗による |
ガリバー | 一定期間キャンセル可能 | 7日間以内なら無料 |
ラビット | 店舗によって異なる | 店舗による |
ビッグモーター | キャンセルできない | – |
ユーポス | 契約後のキャンセルは不可能 | – |
カーセブン | 車両の引渡しから7日間まで可能 | 引渡しから7日間まで無料 |
カーチス | キャンセルの状況次第で対応可能 | キャンセルのタイミングによる |
T-UP(ティーアップ) | 契約後のキャンセルは不可能 | – |
オートバックスカーズ | 車両の引渡し前まで可能 | 無料 |
【アップル】車買取のキャンセル規定
アップルは全国に240店舗以上ある大手車買取店だ。オリコン顧客満足度ランキングで5年連続No.1を獲得するなど、買取額や接客に定評がある。
アップルはホームページ上ではっきりとキャンセル規定について公表していないが、キャンセルは可能のようだ。アップルの契約後のキャンセルについては以下の通りだ。
キャンセル可否 | 一定の期間であれば可能 |
---|---|
キャンセル料 | 車両の引渡し前ならキャンセル料は原則かからない |
ただ、アップルはフランチャイズ展開をしている買取店で、実際はキャンセルについては店舗によって異なるようだ。
アップル本部はフランチャイズ店舗に通達しているキャンセルの指針としては、引き渡し後、翌日まで無条件でキャンセル可能となっている。そのためこの指針を盾にすれば、引き渡し翌日まではキャンセルできるはずだ。
【ガリバー】車買取のキャンセル規定
ガリバーは中古車買取台数No.1で全国に約550店舗ある大手中古車買取業者だ。自社でのダイレクト販売や海外店舗への販売ルートがあり、買取額の高さにも定評がある。
ガリバーではホームページ上で契約後のキャンセルについて明記しており、内容については以下の通りだ。
キャンセル可否 | 車両の引渡し翌日までキャンセル可能、店舗入庫時は当日を含め7日まで可能 |
---|---|
キャンセル料 | キャンセル可能期間までなら無料 |
キャンセル期間の日数は営業日でのカウントとなり、比較的柔軟な対応をしているようだ。無償キャンセル期間以降のキャンセルは原則不可だが、可能な場合も違約金が発生。
ただし、違約金を払えばキャンセルが可能というわけではないので、少なくとも引き渡し翌日までには結論は出さなければいけないだろう。
【ラビット】車買取のキャンセル規定
ラビットは全国に140店舗以上ある大手中古車買取・販売店だ。ラビットは契約後のキャンセルについてはホームページ上では明記されていないため不明だ。お客様窓口にて確認したところ、キャンセル規定も明確に決まっていないようだ。
ラビットはフランチャイズ展開しているため、キャンセルへの対応は店舗毎に違う。基本的にはどこの店舗でも契約後のキャンセルは不可だが、早い段階なら対応してくれる可能性もあるだろう。ただしキャンセル料も覚悟が必要だ。
【ビッグモーター】車買取のキャンセル規定
ビッグモーターは中古車買取台数・販売台数とも日本一を獲得した大手だ。新しい店舗も続々オープンしており、買取額の高さや販売価格の安さが人気の秘訣である。契約後のキャンセル規定については、ビッグモーターのホームページ上では明記されていない。
だが、実際に車買取を利用した方の話などを総合すると、契約後のキャンセルは一切できないとのことだ。ビッグモーターは中古車販売台数も多いことからもわかるように、買取後すぐに売却の準備に取り掛かることが関係しているようだ
他の大手に比べるとキャンセルに関してはシビアに感じるが、これが基本である。むしろあいまいな基準よりも明確でわかりやすいかもしれない。そのため、ビッグモーターに売る時には慎重に契約する必要があるだろう。
【ユーポス】車買取のキャンセル規定
ユーポスの契約後のキャンセルについて、ホームページ上では以下の通り明記している。
キャンセル可否 | 譲渡書類、車両引き渡し完了翌日までなら可能 |
---|---|
キャンセル料 | キャンセル可能期間までなら無料 |
ユーポスは元々ベイオークのユーポス事業部として発足した経緯があり、買取りした車をそのオートオークションにすぐに出品するという特徴がある。
そのためキャンセル可能期間以降は、すぐにオークションにかけられるためキャンセルは不可になるだろう。
【カーセブン】車買取のキャンセル規定
カーセブンの契約後のキャンセルについて、ホームページ上では以下の通り明記している。
キャンセル可否 | 車両の引き渡し日から7日間までキャンセル可能 |
---|---|
キャンセル料 | キャンセル可能期間までなら無料 |
その他 | 電話1本でキャンセル可能 |
カーセブンはフランチャイズ展開している買取店だが、キャンセルについてはハッキリと明記しておりこれがウリでもある。
他店よりはキャンセルに関しては寛容と言えるだろう。だがキャンセル期間以降のキャンセルは想定していないため、キャンセル不可となるようだ。
【カーチス】車買取のキャンセル規定
カーチスの契約後のキャンセル規定については、ホームページ上では明記されていない。だが相談窓口で確認したところによると、基本的にキャンセルには応じるとの事。だがキャンセル料は発生する可能性はあるようだ。
キャンセル料に関しては契約書に明記されており、実際に契約書通り請求された人も多いようだ。また、二重契約に関しても厳しい対応を迫られるケースもあり、基本的には契約後のキャンセルはしないことが望ましいだろう。
【T-UP(ティーアップ)】車買取のキャンセル規定
T-UPはトヨタ自動車が運営する中古車買取ネットワークで、全国のトヨタ店舗でダイレクト販売しているのが特徴だ。
T-UPの契約後のキャンセル規定については、ホームページ上では明記されていないが、原則として契約後のキャンセルは不可。T-UP 3,600店舗のネットワークがあり、買取りした車はすぐにリユースされるためキャンセル不可のようだ。
契約時にしっかりと確認が必要だが、仮にキャンセルできたとしてもキャンセル料が発生する可能性はある。
【オートバックスカーズ】車買取のキャンセル規定
オートバックスカーズは「車両の引渡し前」までなら無条件で契約をキャンセルすることが可能だ。そのほかにも契約後に金額を下げるなどもしないと宣言している。
反対に車を引き渡してしまうとキャンセルはできなくなってしまうため、車を売るときは家族と相談して本当に大丈夫なのか確認をしてから売るようにしよう。
車売却の二重契約は契約書に従わなくてはいけない
車売却時に二重契約をした場合、どちらか一方はキャンセルすることになる。契約書を交わしているのに一方的にキャンセルするのだから、基本的には違反となり、その場合の対応は契約書に従わなくてはいけないのだ。
幸いなことに業者によっては契約後のキャンセルも可能としているところもある。例えば以下のような対応となる。
- 契約翌日まで無償キャンセル可能
- 車を引き渡し後、一定期間まで無償キャンセル可能
- 契約書にサインしたら、キャンセル不可
- キャンセルの場合は、違約金が発生
ただし、これらはあくまで諸事情によりキャンセルする場合だ。二重契約によるキャンセルは、横領罪となってしまうため、対応しない業者もあるし横領罪で訴えられる可能性すらある。
仮に二重契約だとしてもその旨は伝えずにキャンセルするのが無難だ。
車買取のトラブルを防ぐ『3つのポイント』
車買取で二重契約を交わしてしまえば、業者に二重契約がバレる・バレないに関係なくトラブルになることが十分に考えられる。トラブルを防ぎスムーズに売却を進めていくには、以下の3つのポイントを押さえておくといいだろう。
【ポイント1】契約書にすぐにサインをしない
査定をしてもらい買取額に納得をしたら契約書にサインをすることになる。誰でも契約は慎重に行うものだが、業者は他社に買取されないようにしつこく契約を迫ってくることもあるのだ。そこでついサインしてしまう人もいる。
もちろん契約後もキャンセルできる業者もあるが、安易にサインをすると後々トラブルになってしまうこともあるのだ。
契約書はすぐにサインせず、冷静になって契約書を確認し、すべてに納得してからサインするべきだ。またキャンセルの可能性があるなら、キャンセルの可否・キャンセル料についても確認が必要だ。
【ポイント2】家族と相談をしてから中古車を売却する
車買取でよくあるのが、契約してから家族から売却に反対されてしまうケースである。車は自分の所有物だとしても高価なものであることは間違いなく、そんな安価なら売らなくてもいいと言われるケースも考えられる。
仮に買取額が低くても、家族が納得した額ならその後トラブルになることもキャンセルになることもないはずである。
【ポイント3】支払期間と支払方法を確認する
車売却でトラブルになりがちなのが、買取金額の支払いについてだ。買取業者によって契約後の支払いは対応が異なり、主に以下のようなケースがある。
ケース① | 車をその場で引き取り、現金支払い |
ケース② | 車をその場で引き取り、後日口座振り込み |
ケース③ | 車を引き取り時に現金払い |
ケース③ | 車の引き取り後、後日口座振り込み |
ここで注意したいのが、後日支払いだ。いつまで支払いをするのか、ハッキリと日数まで確認する必要がある。悪徳買取業者だと支払いされない、支払金額が少ないなどのトラブルがあるのだ。
まとめ
車査定では、複数の業者と契約を交わしてしまう二重契約をしてしまう人もいるようだ。業者によっては一定期間キャンセル可能というところもあるが、基本的に二重契約は違法で横領罪に問われる恐れがある。
二重契約をしてしまった場合は、その旨は伝えずにキャンセルする必要があるだろう。ただ、業者によってはキャンセル不可となるケースもあるし、キャンセル料を請求されることもあるのだから、事前に確認しておく必要もあるだろう。